新しい働き方として普及したテレワーク。社会情勢に関わらず、自分のペースで働けるのがいいところですよね。反面、仕事での連帯感や取引先とのコミュニケーション不足が原因でトラブルになることも。
しかし、働き方や生活様式の見直しが進む昨今、オンラインでのコミュニケーションはますます重要になっていくはずです。
そこで今回は、テレワークでのコミュニケーションの問題点や、わたしが実際にしている工夫についてご紹介します。オンライン・コミュニケーションのコツを掴んで、状況に左右されない柔軟な人間関係を築きましょう!
▼ 目次
1. テレワークでのコミュニケーション「困った!」3選
1-1. 雑談が減って相手の様子がわかりにくくなった
1-2. 発言の意図が掴みにくい
1-3. テレワーク用のツールを使いこなせない
2. オンライン・コミュニケーションのコツ!ポイントは3つの「共有」
2-1. 時間の「共有」
2-2. 視覚の「共有」
2-3. 状況の「共有」
3. テレワークでのコミュニケーションの実態
3-1. テレワーク勤務に9割が不満?!その要因は?
3-2. 上司と部下には意識の差がある!
3-3. 「若い人はオンラインが得意」って、本当?
3-4. テレワークのコミュニケーションには、みんなが悩んでいる!
4. 近くにいないからこそ、意識的なコミュニケーションを!
メリットも多いテレワーク。しかし慣れない勤務体系に、思わぬ「困った!」を経験した人も多いのではないでしょうか。ここでは、そんなテレワークならではの「困った!」を3つ、ご紹介します。
雑談は「ただの無駄話」「暇つぶし」と思われがち。しかし雑談が職場全体の幸福度を高め、結果的に業務成績を上げたという報告もあるんです。
仕事中の長話は困りものですが、休憩中やちょっとした立ち話の中で、わたしたちは無意識に相手の状況や仕事の進み具合の情報を集めています。
けれどもテレワークでは、わざわざネットワークに接続しなくては相手とコミュニケーションを取ることができません。
限られた時間の中では、どうしても用件の伝達だけで終わってしまいがち。相手の様子に気になることがあっても、メッセージを送るほどでは…と、つい見て見ぬふりをしてしまうことも。
困りごとの芽は小さいうちに摘むのが大きなトラブルを防ぐコツです。慣れない作業を自分なりにこなしてみたものの、上司の最終チェックで間違っていたことがわかって最初からやりなおし…なんてことも。
普段通りに出勤していれば、ちょっと隣の人に尋ねることは簡単だったかもしれません。間違った手順で作業をしていることに、周りの誰かが気づくこともできたでしょう。
雑談の中で気軽に相談や声かけができなくなると、問題が大きくなるまで誰も気付かなくなってしまうのです。
会議の後はフランクに近況報告をする時間を設けるなど、意識的に自分や相手の状況に関して情報交換をする場を設ける必要があります。
人と人とのコミュニケーションは、93%が非言語によるものだと言われています。
ボディランゲージや声の調子、話し方など、わたしたちは言葉以外にたくさんの情報を受け取って会話をしていますよね。テレワーク時にメールや電話だけを利用していると、情報不足から発言の意図が正しく伝わらずに誤解を招くことも。
カメラを利用したオンライン通話の場合も、反応の速度や声の大きさがいつもと違います。そのため相手の言い方を冷たく感じたり、こちらが怒っていると思われたりして、スムーズなコミュニケーションができないことがあります。
また、複数でのオンライン通話になるとお互いの目線の向きがわからず、誰に話しかけているか判断できないことが。自分に話かけているとは思わずぼんやりしていたら、「無視された」と相手が怒り出した…なんてトラブルにもなりかねません。
他の人の発言を真剣に聞いていたつもりが、カメラの向きによってはよそ見をしているように見えるかもしれません。
動画での通話は対面と同じではないことを、お互いに理解しておくことが大切です。
マイクが入らない、音声が聞き取りづらい、そもそも使い方がわからない…。動画会議中に慣れないツールを使いこなせずに時間をロスすると、相手に不快感を与えてしまう恐れがあります。
ちゃんと練習をしておいても、通信環境や機材が変わると思った通りにいかないことも。相手や用途によって使用ツールが違う、というのも悩みのタネですよね。
使いこなせれば便利だとわかっていても、マニュアルを読み、動作確認をするだけで時間を取られてしまいます。普段からPCやネットを使い慣れていない業種の方は、余計に戸惑うことが多いはず。OSの違いでデータを共有できず、作り直しになることも…。
使い慣れたツールで自分らしく仕事ができない、というのは大きなストレスです。
ツールに慣れるまでは得意な人に資料作りをお願いしたり、組織としてオンラインサポートチームを組んだり、会社全体で協力し合うことが大事ですね。
変わりゆく時代に左右されずに、上手に人間関係を築いていくためにはどうしたらよいのでしょうか?
ここでは実際にテレワークを経験した中で、わたし自身が感じたコミュニケーションのコツについてお話します。
そのポイントは、3つの共有!「これ、いいな!」と思ったら、ぜひご自身のテレワークにも取り入れてみてくださいね。
WEB会議や打ち合わせなどでカメラ通話を利用している人は多いですよね。でもその接続、会議が終わったらすぐに閉じてしまっていませんか?
職場では仕事中もずっと同じ空間にいるのに、テレワーク中はチャットルームを退室した途端に一人きり…寂しいな、と思ったら、思い切って通話をつなぎっぱなしで仕事をしてみましょう!
例えば、出入り自由の「作業ルーム」を作ってカメラをつなげたままにしてみんなで一緒にPCに向かえば、作業をしながら雑談もできます。出勤しているときのように、仕事の報告や質問も気軽にできるのが利点です。
別の作業をするときや集中したいときは一度退出し、また気が向いたら戻って来るという使い方もできます。
仕事以外にフランクな「共有」ができる時間が少しでもあると、コミュニケーションの質が高まります。「休憩室」を設定して、作業に疲れた人が雑談をするためだけの通話ルームを解放しておくのも楽しいですよ。
わたしもオンラインでのランチミーティングと称しておしゃべりの時間を作ったり、会議の前後に少し雑談の時間を作ったりして、できるだけ職場の同僚たちと共有できる時間を増やしました。
おかげで、テレワークが終わった後もスムーズに業務を続けることができました!
指示を出したり報告したりするときは、なるべく自分と同じものを相手も見られるようにしましょう。
画像やデータの共有機能を利用して、参加者全員が同時に「共有」できるようにするとベストです。メールで送った資料も改めて共有画面で開くことで同じものを見ている状況を作ることができ、すれ違いや誤解を減らせます。
Googleドキュメントなどを利用すれば、その場で書き込みながら資料を完成させることも。手間も時間も省けるうえ、誤解によるすれ違いも防げて一石二鳥!その場でデータを改善していけるのは、オンラインのメリットですよね。
また、ちょっとしたメモや商品の現物などもカメラに映して共有しましょう。同じものを見ながら意見を交わすという行為自体がコミュニケーションになります。
わたしは印刷した資料や参考書籍などは、たとえ文字が見えなくてもカメラに映して手元にあることを示すようにしていました。相手がなにをしているかを示すことで、近くにいるような感覚を与えることができたと思います。
こうした行動は仲間意識を育て、孤立しがちなテレワークの精神状態も安定させてくれるはずですよ。
テレワークの場合、相手が家にいるとは限りませんよね。近所のカフェで仕事をしている人、コワーキングスペースを活用している人…。家の中でも、リビングか自室かでずいぶん事情が違うはず。
変わった場所にいるみたいだな、と思ったら、積極的に状況を尋ねましょう。子供が昼寝中でこっそり台所から参加している、なんて人もいるかもしれません。
お互いに気遣いしながら情報交換をして、相手の近況についても共有しましょう。お気に入りのマグカップやカフェメニューから、同僚の意外な一面が知れるかもしれません。
フランクな打ち合わせなら、ユニークなデジタル背景にしたり、飼い猫を膝に乗せて参加したりして話題にしても。子供が乱入してしまうのもご愛敬です。
わたしも打ち合わせ中に子供が泣きだしてしまったことがありますが、ありがたいことに同僚たちがそれぞれ家にあるぬいぐるみを持ち寄ってくれて、画面越しにあやしてくれました。
せっかくのテレワークですから、それぞれが違う場所にいることを楽しみましょう!
テレワークのコミュニケーションについて、他の人はどう考えているのでしょうか?
立場によって感じ方が違うの?若い人は喜んでる?アンケートをもとに、テレワークの実態について見ていきましょう!
株式会社スノーピークビジネスソリューションズの「リモート勤務に関する実態に関するアンケート」では、9割の回答者がテレワーク (リモート勤務) に不満を感じているという結果に。その要因の6割近くは「会社の人とのコミュニケーションが減った」でした。
人と人とが接する機会を減らすためのテレワーク勤務。コミュニケーションが減ってしまうのは当然なのかもしれません。
しかし、人との触れ合いが制限される社会情勢だからこそ、毎日顔を合わせていた仕事仲間たちとのコミュニケーションを大切にしたいですよね。
他の人とのコミュニケーションが減ることは、仕事のモチベーションの低下にも大きく影響しているようです。
同アンケートでは、オンラインでのコミュニケーションに対する不満は、部下より上司のほうが1.3%も高いことが示されました。
一方で、「上司は適切な指示を出してくれる」と答えた部下は55%なのに対し、上司は「部下に適切な指示を出している」と答えた人が67.5%です。
上司のほうでは「指示がうまく伝わらない」と思っていて、部下のほうでは「そもそも指示が的確でない」と悩んでいる…という構図ですね。
対面であればすぐに確認をしたり、身振り手振りで伝えたりできることが、オンラインではなかなかスムーズにいきません。
また、上司のほうは相談してほしいと思っていても、部下はそのタイミングをつかめない、というすれ違いも起きています。
サイボウズ チームワーク総研の「テレワークのコミュニケーションに関するアンケート」 では、「業務に関するコミュニケーションがしにくい」と答えた人は56.2%。
特に20代では、61.9%を超えています。若い人のほうがオンラインでのコミュニケーションに不満があるのは、意外な気もしますよね。
また、20代ではチャットやメール、電話を同じくらいの割合で使いこなしていますが、30代から60代まではコミュニケーション手段の80%がメールです。
ネット世代だからこそ、文字や電話のみのやり取りが中心のテレワークには戸惑いがあるのかもしれません。
上司も部下も、ネット世代の若い人も!みんなが悩んでいる、テレワークのコミュニケーション。
しかし、働き方改革や社会情勢の変化によって、人々の生活や勤務体系はますます多様化していきます。離れた場所で、異なる状況で…国が変われば、時間まで違います。
テレワークでの人との接し方は、気持ちのいい対応や豊富な話題だけでは解決できないテーマです。ありとあらゆる多様化の中で、いまやコミュニケーションの問題そのものが大きく変わってきているのかもしれません。
自由に働けるようになったからこそ、思いもよらない問題が起きることもあります。コミュニケーションの問題は一人だけでは解決できませんから、協力し合って、うまく乗り越えていきたいですよね。
サイボウズ チームワーク総研のアンケートでは、テレワークのコミュニケーションについて「ちゃんと伝えようと丁寧になる」と答えた人が7割にも上ります。
同じ空間にいない分、丁寧に、大切に、コミュニケーションを取ろうと意識することが大切です。テレワークのコミュニケーションを上手に工夫して、誰もが楽しく働けるようにしていきましょう!