リモートワークのよくある誤解8選。誤解を解消して新たな働き方を取り入れよう

東堂

東堂

2021.06.22
リモートワークのよくある誤解8選。誤解を解消して新たな働き方を取り入れよう イメージ

オフィスに出社せず、自宅やカフェなどで行うリモートワーク。メリットも多いリモートワークですが、日本国内の導入状況ははかばかしくありません。

事実、厚生労働省が運営する「テレワーク総合ポータルサイト」の調査によると、アメリカでは85.0%、イギリスでは38.2%の企業がリモートワークを導入しているのに対し、日本の導入企業は19.1%に留まっています。

なぜ、政府が強く推進しているにも関わらず、日本国内ではリモートワークの普及が遅れているのでしょうか。その一因として、リモートワークに対する「誤解」があると考えられます。


▼ 目次
1. それ誤解です!リモートワークにありがちな固定概念8選
1-1. リモートワーク導入には莫大な費用がかかる
1-2. コミュニケーションが取りづらくなってしまう
1-3. web会議だとスムーズな進行ができない
1-4. リモートワークによって生産性が悪化する
1-5. リモートワークによってチームの協調性がなくなる
1-6. 書類の共有や判子の使用ができなくなる
1-7. リモートワークはセキュリティ面が不安
1-8. 自分の業種はリモートワークに向いていない
2. 誤解を解消し、快適なリモートワーク生活を


 

それ誤解です!リモートワークにありがちな固定概念8選

多くの人が、リモートワークに対して抱きがちな固定概念。
その代表的なものとして、以下の8つが挙げられます。

・リモートワーク導入には莫大な費用がかかる
 
・コミュニケーションが取りづらくなってしまう
 
・web会議だとスムーズな進行ができない
 
・リモートワークによって生産性が悪化する
 
・リモートワークによってチームの協調性がなくなる
 
・書類の共有や判子の使用ができなくなる
 
・リモートワークはセキュリティ面が不安
 
・自分の業種はリモートワークに向いていない

たしかに、一部は事実です。
しかし、多くの場合は誤解であり、やり方によって、こうした不具合を十分に回避することが可能です。

それぞれ順を追って見ていきましょう。
 
 

リモートワーク導入には莫大な費用がかかる

リモートワークの導入には一定の費用がかかります。パソコンなどの周辺機器を自宅に郵送したり、リモートワークに対応したweb会議ツールや勤怠管理ツールを導入したり、社員にリモートワーク手当を支払ったり…。

しかし、web会議ツールやチャットツール、オンラインストレージツールなどには一部無料で使えるものも多くあります

web会議ツールであれば、無料版でも画面共有やホワイトボード機能などの機能面が充実した「Zoom」がおすすめです。

チャットツールであれば「ChatWork」がおすすめですが、無料版の場合、参加できるグループチャット数の上限が14個(2021年6月時点)となっていますのでご注意ください。

有料プランを無料お試しできるツールも多いので、まず一度試してみて、合う合わないを判断してみるのもいいですね。

これまでかかっていたオフィスの光熱費や社員の交通費などは大幅にカットできるでしょうから、リモートワーク導入のために必要な費用をそこから捻出することも可能でしょう。

もしも、リモートワーク導入にあたり全社員に新しいパソコン・デスク・椅子を購入する、などの場合は莫大な費用がかかるでしょう。

しかし、オフィス利用のパソコンや周辺機器を使い回せるのであれば、実はそれほど費用がかからないことがほとんどなのです。
 
 

コミュニケーションが取りづらくなってしまう

リモートワーク中はコミュニケーションが取りづらくなってしまう。

これはたしかに事実です。しかし、ツールを取り入れたり工夫を凝らすことで、リモートワーク中でも良好なコミュニケーションを取ることは十分可能です。

筆者のおすすめは、web会議ツールやチャットツールの導入です。web会議の前後に雑談の機会を設け、チームメンバーが会話に参加しやすい環境を作り出せると、なおいいでしょう。

リモートワーク環境下におけるコミュニケーションのコツは「体験してわかったテレワークで上手にコミュニケーションを取る工夫」でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

 
 

web会議だとスムーズな進行ができない

これは明らかな誤解、あるいは利用中(検討中)のweb会議ツールが適切でないと考えていいでしょう。

利用するweb会議ツールによっては、発表者の画面を共有できたり、チャットを用いて補足や資料共有ができたり、会議内容を録画して社内に共有できたりと、さまざまなことが可能になります。

筆者がとりわけ愛用しているのは「画面共有機能」です。

発表者の画面をそのまま共有することができるので、資料を見ながら説明したり、提出されたデータを一緒にチェックしていく際に大変便利ですよ。

ZoomやGoogle MeetCisco Webexのように、100人規模で参加できるweb会議ツールもありますので、適切なツールを選び、その使い方を把握できさえすれば、web会議だからといって進行に困ることはまずないでしょう。
 
 

リモートワークによって生産性が悪化する

これもまた誤解である、あるいは、もし本当に生産性が悪化してしまっているのであれば、そのやり方に難があると言えます。

Office Withの調査によると「テレワークによって仕事の生産性は上がったと感じますか?」という質問に対し、「はい」と回答した人は40.4%。「いいえ(29.7%)」を大きく上回り、過半数に迫る勢いを見せました。

リモートワークへの不満としては

・職場と同じ要領で仕事がしにくい:105名
・仕事とプライベートのメリハリがつきにくい:59名
・仕事仲間に相談しにくい:44名

がもっとも多く挙げられましたが、こうした課題のほとんどは適切なツールの導入などで改善することができます。

事実、イードが行った調査によると「テレワークの生産性が上がった」と回答した人が、2020年4月の調査時には18.0%だったのに対し、同年11月の調査時には29.6%にまで増加。

リモートワークを続けるなかで生産性を高めるコツを見つけたり、ツールの導入などによってリモートワーク環境が整ってきたことによって、リモートワークの生産性が徐々に高まっていることが分かります。
 
 

リモートワークによってチームの協調性がなくなる

こちらも部分的には事実ですが、コミュニケーションを円滑に取ることさえできれば、リモートワーク中でもチームの協調性を良好に保つことが可能です。

そのためにはweb会議ツールやチャットツールの活用がポイントになりますが、筆者のおすすめはweb会議です。

web会議を行えば、チームメンバーの顔色や表情、仕草や声色といったさまざまな情報を得ることができ、メンバーの状態を正しく把握することができます

雑談によってメンバーの本音を引き出しやすいという利点もあるので、チームの協調性に不安をお感じの方には、web会議や雑談を積極的に取り入れてみることをおすすめします。
 
 

書類の共有や判子の使用ができなくなる

厚生労働省が旗振り役となってペーパーレス化を推進している現代社会においては、紙だけでなくデータで書類を管理運用することが求められるようになりました。

書類を電子化し、オンラインストレージ上に保管しておけば、いつでもどこからでも自由に書類にアクセスすることが可能になります。

書類の紛失や戻す場所の間違いといったヒューマンエラーを根絶でき、書類を探すためにかけていた時間も大幅に短縮できるでしょう。

筆者も、リモートワーク環境下では電子書類を利用していますが、会議や提案前にデータを出力する手間がなく、持ち運びの面倒もなく、かさばる紙書類を保管する必要もないなど、良いこと尽くしだと感じています。

紙書類の出力・保管にかかる費用や時間、スペースも大きく削減できるので、こうしたペーパーレス化は企業にも大きなメリットを与えてくれますよ。

電子サインや電子判子ツールも広く一般に普及するようになり、今や「書類に判子を押してもらうためだけに出社する」という考えそのものが前時代的になりつつあるのです。
 
 

リモートワークはセキュリティ面が不安

個々人のネットワーク環境に依存するリモートワークでは、セキュリティが不安。

であれば、リモートワーク向けのセキュリティ対策ソフトを導入すればいいのです。あるいは、シンクライアントを用いて情報漏洩リスクを払拭するのもいいでしょう。

シンクライアントとは
 
データの管理や編集、保存といった処理の大半をネットワーク上のサーバーで行い、ローカル環境にはデータを残さないこと。万が一パソコンを紛失したとしても、情報が漏洩するリスクが極めて低い。

セキュリティ面を充実させたオンラインストレージも多いため、やり方次第で、リモートワーク中でも高いセキュリティ環境を構築することが可能です。
 
 

自分の業種はリモートワークに向いていない

fabcross for エンジニアが行った調査によると「勤務先でテレワーク(在宅勤務)を導入していない理由」としてもっとも多く挙げられたのが「テレワークで対応できない業種だから」でした。

その割合はなんと73.6%に及び、2位の「社内制度が整っていないから(12.9%)」、3位の「セキュリティの問題があるから(10.1%)」を大きく引き離しています。

たしかに、リモートワークは業種によって向き不向きがあります。生産業や製造業、接客業などは、とりわけリモートワークを導入しづらい業種として知られています。

専用の大型機械を使わなければならない、顧客と対面でコミュニケーションを取らなければならないなどの場合、リモートワークの導入は難しいでしょう。

しかし、全面的にリモートワークを導入するのが難しい業種でも、書類作成や面談など、環境さえ整えればリモートワークで対応可能な業務も一部あるはずです。

リモートワークを導入するからといって、フルリモートにこだわる必要はありません。リモートワークでも対応できる業務はリモートワークに回し、出社しなければ対応できない場合は出社してもらって、社員の負担を減らすことが重要なのです。
 
 

誤解を解消し、快適なリモートワーク生活を

今回は、リモートワークにありがちな誤解8つについて、その実態と対策を解説してきました。

「リモートワークとはこういうものだから仕方がない」あるいは、「こういう不便があるからリモートワークは導入しない」

そう思っていたことが実は誤解で、やり方によってはリモートワークでも十分快適に過ごせることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

リモートワークで重要なのは「働きやすい環境」を作り出すことです。そして、その環境を作り出す手伝いをしてくれる便利なツールやサービスが、世の中にはたくさん溢れかえっています。

コミュニケーションが取りづらいという大きな課題も、適切なツールの導入や雑談を取り入れるという意識によって、大きく改善することができます。

リモートワークの導入をためらっている方は、ぜひ一度、誤解や固定概念を取り払って、今一度「自社でもリモートワークを導入できるのだろうか」と考えてみてください。

フラットな目線で考えてみれば、きっと、貴社に最適なやり方が見つかるはずですよ。
 

東堂
この記事を書いた人

東堂

読書好きが高じて小説家デビューを果たした物好き。クラシック音楽とお菓子作りを好みます。