働く場所にしばられず、自宅やカフェなどでも業務可能なテレワーク。もうオフィスは必要ない!という企業もあるとか。しかし完全にテレワークに切り替わると、困ることが…そう、電話です。
お客様のなかには「メールよりも電話のほうが使いやすい」という方もいらっしゃいます。また、テレワークをしたいのに電話番が必要だからと出勤を命じられた、というケースも。
電話対応の不都合が解決すれば、テレワークはもっと働きやすくなりますよね。
今回はテレワークの電話対応について、その実態と解決方法を紹介します!
▼ 目次
1. テレワークの電話対応の課題って?1位から3位までを紹介
1-1. 【3位】電話転送などで在宅勤務中の特定の社員に負担がかかった
1-2. 【2位】電話での問い合わせ対応ができなくなった
1-3. 【1位】少人数が持ち回りで出社し対応しなければならなかった
2. テレワークの電話対応の課題を解決!その方法は?
2-1. 個々のモバイルを代表電話に!アプリや転送サービスを活用する
2-2. 基本的な電話対応は専門スタッフにお任せ!電話代行サービスを利用する
2-3. 電話もオフィスももういらない?!バーチャルオフィスを導入する
3. テレワークの電話対応で失敗しないために!注意すべき3つのポイント
3-1. 電話にかかる費用のルールを決めておく!
3-2. まわりの騒音に注意!
3-3. わからないことは一度電話を切って確認を!
4. テレワークの電話対応に必要なのは「全体」と「個人」のルール
4-1. 会社全体でのルール
4-2. 個人のルール
5. 電話対応の方法も新しい時代へ
株式会社シンカによる総務担当者を対象に行われた調査では、テレワークの課題は「固定電話対応」と答えた人が31.1%になりました。
社員はテレワークで自由になっても、問い合わせのための代表電話は移動できません。その結果、テレワークそのものが実施できなくなる人も。
同調査での「固定電話(代表電話)対応で困ったこと」の上位3つを紹介します。
出社した社員が電話を取ってテレワーク中の社員へ転送するというパターンでは、どうしても電話のつながりやすい人に負担がかたよりがち。
自宅で業務を行う人、気分転換に場所を変える人など多様な働き方ができるのがテレワークですが、電話対応ができる環境は限られますよね。
なかには子育てテレワーク中で着信に気づいてもなかなか対応ができない…という人もいるのでは。
何度電話しても出ないとなると、転送する側も電話を回すことをためらってしまいます。「いつも電話に出てくれるあの人に」と思うのは自然なことです。
しかし「電話に出られる人は手が空いている」というわけではありません。あれもこれも、と電話を回されると、自分の業務に集中できませんよね。
時間や日によって何人かの担当者を決めておくなど、一人に負担が集中しないようにする工夫が必要です。
業務に関する相談をいただいてもすぐにご対応ができないと「もう別の人に決めたよ」なんて言われてしまうことが。特に新規のお客様にとっては、連絡したのに待ちぼうけをさせられたとなると印象が悪いですよね。
電話での問い合わせに対応できないというのは、業績にも影響しかねない問題です。
問い合わせはメールでと思っても、急ぎの要件や文字では詳細が伝えにくい場合もあります。これまで電話で対応してきたお客様には、メールへの切り替えが難しい方もいるかもしれません。
そんなときのために、しばらくは連絡手段としての電話を残しておきたいもの。ほかの連絡手段へ移行するときは、少しずつ、丁寧な対応を行う必要があります。
会社にかかってきた電話を転送するためには、オフィスに誰かが出勤している必要があります。でも、そのためだけに出勤するのは大変ですよね。
同調査では、緊急事態宣言下においても70%以上の企業が電話対応のために従業員を出社させるしかなかったという実態も明らかにされました。
わたしの職場はそれほど電話がかかってこない部署なのですが、それでもやはり電話番のために1人は出社するよう求められました。
担当者でなければ電話対応がスムーズにいかないという事情もあって、結局ほとんどテレワークができない人もいたようです。
業務の一環である以上仕方がない部分ではあるのですが、特定の人に負担が集中するのは避けたいもの。
持ち回りが難しい場合は、ほかの業務は別の人に割り振る、出勤時間を短くしてオフ・ピークに移動できるようにする、などの配慮を。
社会情勢や働き方の変化にあわせて、たくさんの新しいサービスが始まっています。なかには行政でも活用されているものも。
便利な電話対応のツールを用途別にまとめました。
アプリや転送サービスを利用することで、代表番号にかかってきた電話を個人のモバイルで受け取ることができます。
電話の転送サービスとしては、すでにボイスワープ を活用しているという企業も多いのでは。電話転送システムの定番ですよね。
これは固定電話の着信を別の端末に転送するシステムで、オフィス不在時にかかってきた電話を特定の端末で受け取れるようにするのが目的です。
シンプルでわかりやすく、特別な工事も必要ありません。最も導入が簡単なテレワーク用の電話対応システムといえるでしょう。
ただし月額料金とは別に、転送元から転送先への通話料金が必要です。電話を頻繁に転送する必要のある企業では大きなコストがかかります。
転送料金をどうにかしたい!という企業には、CLOUD PHONEなどのクラウドPBXがおすすめ。
こちらは転送元になる固定電話自体をオンライン上に設定しているので、転送料金がかかりません。そのかわり、月額の利用料金が12,000円からとボイスワープよりも高く設定されています。
もっとお手軽なツールをお探しの場合は、月額980円からのアプリ03plusも。これは大阪市 財政局税務部管理課管理グループでも利用されています。
利用頻度や用途によって、より適したツールを選びましょう。
やはり電話は録音の音声ではなく、人の対応で!という場合は、電話対応を外注するという手もあります。受付のように丁寧に案内をしてくれる専門スタッフがいれば、テレワーク中でも安心です。
CLOUD PHONEには電話代行サービスもあります。社員による電話対応業務そのものをなくしたいという企業にも便利です。こちらは月額11,000円から。
予算が組めない…という場合は、電話受付専門のスタッフを雇う・専属の担当者を置く、などでも代用できそうです。
時期によって業務が比較的少なくなる社員がいれば、電話対応サポートとして専門スタッフのグループを構成しても。その場合は業務内容や手当、期間などはきちんと取り決めましょう。担当に丸投げはトラブルのもとです。
業務はテレワーク中心になり会社には誰も来ないという場合は、いっそオフィスを引き払いバーチャルオフィスにしてしまうという手も。
株式会社ゼニスの調査では、回答した企業の40%が「オフィスは不要」と答えています。家賃を払わなくてよくなる分、合理的だと考える企業も多いようです。
バーチャルオフィスでは電話の転送サービスが受けられます。担当者のモバイルで電話を受け取って、固定電話があるときと同じように通話や担当者への取次などが行えます。
ワンストップビジネスセンターでは、電話転送や電話秘書代行のサービスも利用できます。
バーチャルオフィスの利用料金は月額5,280円から。電話転送サービスは、契約時に5,000円の前払い通話費用がかかります。サービスに納得いかない場合は返金制度もありますよ。
住所がなくなると不都合が生じる、という企業でも大丈夫!バーチャルオフィスは法人登記をすることもできます。
住所や電話番号を名刺に書けるので、もともとオフィスを持たないフリーランスにも便利。郵便物のやりとりも可能です!
転送サービスを利用したテレワークでの電話対応は、出勤時と状況が違います。思わぬことで失敗してしまうことも。
テレワークでの電話対応で失敗しないための、3つのポイントを紹介します。
自分のモバイルに会社の電話を転送し、取引先の問い合わせに対応。確認事項ができたので折り返し電話…いつもと同じように電話を使っていたら、いつの間にか通話料金がかさんでいたということも。
また、使用中にモバイルが故障したときの保証や充電時の電気代、公私の区別など、どこまで会社に請求できるのか悩むケースもあります。
わたしの職場では、電話対応が多い部署の担当者は会社から配布された専用モバイルを持ち帰っていました。
すべての社員に配る予算がないというときは、電話対応の頻度の高い社員だけでも専用モバイルを用意すると、結果的に経費申請等の業務も減ります。
経費としての申請の仕方やマニュアルなどをしっかり整え、相談窓口の担当者を明確にするなど、事前に社内サポートの体制も構築しましょう。
今日はカフェでゆっくり仕事と思っても、電話対応のことを考えると店内BGMや外の音が気になりますよね。働き方は自由とはいえ、お客様や取引先にはテレワークの日程はわかりません。
「遊んでいる」と思われては大きな損害です。
電話対応の可能性がある日は、すぐに静かな場所に移動できる環境で仕事をしましょう。
わたしはカフェなどで業務するときは、出口に近い席に座る、BGMの音量が小さい店を選ぶ、などの工夫をしています。静かな環境は集中しやすく、仕事もはかどりますよ!
いつもならディスクまわりに整理してある資料も、自宅での勤務ではなかなか手元に揃えられません。「あの件だけど…」と言われて、すぐに正確な資料が見つからないことも。
そういうときは「確認して、折り返しお電話します」と伝え、一度電話を切りましょう。お待たせすることはリスクですが、曖昧な情報を伝えてしまう方が危険です。
必要であればテレワーク中であることを伝え、理解を得ましょう。
わたしも簡単なメモはいつもそばに置くようにしていますが、それで足りないときは必ず一度電話を切ります。
時間を取ることで情報も整理できて、わかりやすく伝えることができます。急がばまわれ、ですね。
テレワークの電話対応を行う際には、会社全体でのルールと個人のルールの両方を遵守する必要があります。
自分だけではできないこと、会社の取り決めだけでは取りこぼしてしまうことを把握し、それぞれのルールの中で適切な決まりを作っておきましょう。
テレワークでの電話対応をスムーズに行うには、ツールを導入する、担当者を決めるなど、会社全体で取り組むことが必要です。
よくある問い合わせのマニュアルをまとめておく、担当者の一覧と連絡先を最新のものにしておくなどの細かな準備をしておくと、テレワーク中も適格な電話対応ができます。
会社の電話を個人の端末に転送すると、業務時間を超過した対応を迫られることも。
休憩時間には電話を取らない、終業時間後は留守電の設定にしておくなど、無理をしすぎないルールを徹底しましょう。
必要であればほかの社員や上司に相談して、適宜対応していくことも大切です。
働き方が変われば必要なツールも変わります。固定電話しかなかった時代に比べれば、電話の使い方もずいぶん変化しました。
テレワークの普及とともに浮かび上がった電話対応の問題は、新しい時代への変化の証でもあります。
新しい時代の働き方には、新しい電話対応を!現代は、企業と個人それぞれが無理のない体制を作り上げていくときなのかもしれませんね。