テレワークでよくある悩みを解決するクラウドサービスを紹介

山浦寛貴

山浦寛貴

2021.09.13
テレワークでよくある悩みを解決するクラウドサービスを紹介 イメージ

「働き方改革」から注目を集めたテレワーク。企業にとってはBCP対策やオフィスコスト削減、労働者にとってはワークライフバランスの実現など多くのメリットがあることからも、普及拡大を続けています。

しかし、テレワークを希望しつつも「オフィスに行かないと仕事ができない」「ハンコや決裁承認のために出社する」という悩みを抱える人もいますよね。

そこで、テレワークにありがちな悩みを解決する、おすすめのクラウドサービスをご紹介します。クラウドサービスを活用すれば、安心して完全テレワークへ移行できますよ。


▼ 目次
1. なぜクラウドサービスを導入すべきなのか
1-1. クラウドサービスはテレワークの諸問題を解決する救世主
1-2. テレワークで拡大!オンプレミスからクラウドの時代へ
1-3. 設備投資をしても安心!助成金を活用しよう
2. 完全テレワークで大活躍!クラウドサービス
2-1. 電子契約システム
2-2. ファイル共有サービス
2-3. 勤怠管理システム
2-4. web会議システム
3. 完全テレワークにはクラウドサービスがキー


 

なぜクラウドサービスを導入すべきなのか

テレワークは、オフィスでは可能だった対面のコミュニケーションや業務進捗確認が難しいなどの理由から、テレワークへ舵を切れない企業も多いでしょう。

そのようなテレワークの悩みを解決してくれる救世主がクラウドサービスです。クラウドサービスは、情報共有、ファイル管理、社内システムへのアクセスなどをすべてオンライン上で行えます

そのため、迅速な情報共有・コミュニケーションはもちろん、業務進捗の管理などでテレワークにおける生産性に大きく貢献します。
 

クラウドサービスはテレワークの諸問題を解決する救世主

テレワーク中の問題といえば、多くの場合「情報へのアクセス」と「コミュニケーション」が思い浮かぶでしょう。

実際、総務省が公表する情報通信白書によると「テレワーク(在宅勤務に限る)を実施してみて問題があったこと」のうち、「会社でないと閲覧・参照できない資料やデータなどがあった」が26.8%「営業・取引先等との連絡・意思疎通に苦労した」「同僚や上司などとの連絡・意思疎通に苦労した」などコミュニケーションに関する課題が18.9%でした。

テレワークでは、セキュリティの観点から社内システムの利用制限がかけられていたり、社員同士が離れた場所で仕事をしているため、上記のような問題が生じるといえます。

このような「情報へのアクセス」や「コミュニケーション」などの問題は、クラウドサービスを導入すれば解決できます。
 
 

テレワークで拡大!オンプレミスからクラウドの時代へ

まさにテレワーク時代の救世主にふさわしいクラウドサービス。クラウドサービス自体は2000年代前半からありましたが、働き方改革によるテレワーク普及をきっかけに飛躍的に認知・利用されるようになりました。

企業IT利活用動向調査2021によると、2011年時点ではオンプレミスが主流でしたが、2021年調査では社内システムの半数以上でクラウドサービスを利用する企業が増えています。

オンプレミスとは、自社で情報システムを保有・管理・運用する形態のこと。自社好みに設計できるメリットがある反面、開発コストや運用管理に苦労するデメリットがあります。

一方、クラウドサービスでは開発や運用管理・保守をサービス提供会社が担うため、自社における業務の効率化やコストダウンが図れます

したがって、クラウドサービスはオフィスと同様の仕事環境を整備するために必要不可欠であり、テレワークとの相性がとても良いサービスだといえます。
 
 

設備投資をしても安心!助成金を活用しよう

テレワーク移行といってもタダではできません。当然、導入コストがかかります。たとえば、「機器の購入」「システム整備」などまとまったお金が必要になります。

その際、役に立つのが国や自治体が実施するテレワーク助成金。購入費用やシステム費用などの経費が、助成金の対象かどうかを押さえておくことが大切です。

テレワーク助成金の多くは、中小企業や小規模事業者向けに用意されていますが、種類がとても多く、補助対象となる経費もさまざまです。

ここでは、代表的なテレワーク助成金である「IT導入補助金」を紹介します。IT導入補助金は要件に当てはまれば個人事業主やフリーランスでも受給できる可能性があります。

■ IT導入補助金2021通常枠(A・B類型)

実施主体 経済産業省
補助対象者 中小企業、小規模事業者
補助対象経費 ソフトウエア費、導入関連費等
補助金の上限額・下限額・補助率 A類型:30万~150万円未満
B類型:150万~450万円
いずれも助成率1/2以下
引用元:一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2021

 

中小企業と小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入するときに活用できる補助金です。最大450万円まで補助を受けられ、テレワーク体制の整備に大きく役立ちますよね。

ただ、A類型とB類型の併用ができない、補助申請に期間があるなど申請にあたって注意点があるため、一般社団法人サービスデザイン推進協議会で確認をしましょう。

個人事業主・フリーランスがテレワーク導入で使える補助金や助成金について」の記事でもIT導入補助金について解説していますので、こちらもご参考ください。

 
 

完全テレワークで大活躍!クラウドサービス

テレワークとクラウドサービスの相性はとても良く、クラウドサービスの導入は業務の効率化や生産性の向上に大きく貢献します。

情報通信白書によると、クラウドサービスについて「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と回答した企業の割合は85.5%でした。つまり、導入した企業のほとんどが効果を実感していることがわかりますね。

ただ、「クラウドサービスが良い」と言われても、自社展開する際の最適解がわからない人も多いことでしょう。

そこで、実際にどのようなクラウドサービスがあるかをジャンル別にご紹介します。サービスの内容や導入コストなどを簡潔にお伝えしますので、自社で検討・展開する際にご活用ください。
 

電子契約システム

電子契約システムは、インターネット上で契約書などをデータ化して管理できるシステムです。契約書のテンプレートが利用できるサービスもあり、文書を一から作成する手間を省けます。

そして電子契約システムの導入は、以下のようなテレワークにおける課題を解決します。

・ペーパーレス化
・押印廃止
・保管、検索
・郵送、捺印のやり取り

これまで紙の契約書には印鑑を押していましたが、インターネット上の電子ファイル(契約書)に押印署名(電子署名を付与)して契約を締結できます。

インターネット上で契約が完結するため、取引先から捺印をもらうために数日かかっていた契約を、数時間で完了させることができます。

ここでは、おすすめの電子契約システムを2つ紹介します。
 

電子印鑑GMOサイン

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供している電子印鑑GMOサインは、他社の顧客管理システムなどと連携もでき、導入から手間をかけずに使用できます。

料金プランは月額料金が無料のお試しプラン(機能制限あり)も用意され、初期費用も不要なため、使用感を確かめてから社内展開を検討してもよいでしょう。

また重要な契約書の取扱も可能で、電子認証局による本人確認「身元確認済み高度電子署名」もしくはメール認証で本人確認する「電子署名」の2つの方法から署名タイプを選べます。

初期費用 0円〜(税込)
月額費用 9,680円〜(税込)
無料プラン あり
対応デバイス Windows、Mac

 

Signing

株式会社ネオキャリアが提供しているSigningは、契約書やデータが改ざんされていないことを証明するタイムスタンプが自動搭載され、「うっかりミス」から「意図的な改ざん」まで防ぐことができます。

また、頻繁に使用する契約書や注文などをテンプレート化でき、毎回入力・作成する手間や時間を節約することが可能です。

さらに、契約書の進捗状況(ステータス)を依頼中・締結済・却下など細かく管理できるため、対応に遅れが出る心配がありません。

初期費用 55,000円(税込)
月額費用 8,800円〜(税込)
無料プラン なし
対応デバイス Windows、Mac

 
 

画像引用:OneDrive for Business

ファイル共有サービス

ファイル共有サービスは、インターネット上で重要なファイルを複数人で共有できるシステムです。どこからでも好きなときに、PC、スマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスからファイルを閲覧や編集が可能です。

ファイル共有サービスは、以下のようなテレワーク上のメリットがあります。

・業務進捗をデータでもらう必要がない
・場所、時間を選ばずファイルにアクセスできる
・情報共有のスピードが上がる

容量制限はありますが、無料で利用できるものも多いです。他のクラウドサービスと比べて初期費用もリーズナブルなものが多い点も特徴です。ファイル共有サービスを2つ紹介しますのでご活用ください。
 

Google ドライブ

Google社が提供しているGoogle ドライブはGoogleアカウントさえ持っていれば、すべての機能を誰でも無料で利用できます。初期費用や月額費用もかかりませんので、とても利便性の高いファイル共有サービスですよね。

Google ドライブなら、PCやスマートフォンを含むどのデバイスからもアクセスできるため、社内だけではなく取引先との情報共有も非常にスムーズに行うことができます。さらに、同じファイルを複数人が同時に閲覧・編集できるため、作業の効率も高まります。

筆者自身は日頃から活用していて、外出先や移動中にデータ確認や編集ができるため、クライアントを待たせることがなく非常に助かっています。

初期費用 無料
月額費用 無料
無料プラン あり
対応デバイス Windows、Mac

 

OneDrive for Business

Microsoftを利用するユーザーには特におすすめのファイル共有サービスです。

Microsoft社が提供するOneDrive for Businessは、Office365やMicrosoft Teamsなどのクラウドサービスとの情報連携に強みがあります。専用アプリなどもあるため、スマートフォンやタブレットからアクセスでき、閲覧・編集で相手を待たせる心配がありません。

また、シンプルなデザインで直感的に操作できるため、ファイル管理やフォルダ整理がとても簡単です。クラウドサービスの初心者にも使いやすいでしょう。

初期費用 無料
月額費用 594円〜(税込)
無料プラン トライアルのみあり
対応デバイス Windows、Mac

 
 

画像引用:ジョブカン

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、従業員の出退勤や労働時間、残業時間や有休の取得日数を管理できるシステムのことです。

テレワーク普及前は、タイムカードや打刻システムを多くの企業が使っていました。しかし、打刻後も残業したり打刻忘れなどが起こりやすいため、労務担当者やマネージャーが打刻修正するなどの手間がありました。

これらの問題を解決するのが勤怠管理システムです。インターネット上で、始業や終業のタイミングに合わせて出退勤打刻や残業・有休申請を行うことができるため、従業員の働き方をデータ化・可視化できます。

労務担当者やマネージャーの負担を軽減する、おすすめの勤怠管理システムを2つ紹介します。
 

ジョブカン

株式会社Donutsが提供するジョブカンは、”すべての「働く」を支える”というモットーで開発されたため、誰でも使いやすいデザインです。驚くべきは、多彩な打刻機能と自動集計機能です。

打刻機能が6種類あり、ICカード打刻・LINE打刻・Slack打刻・モバイルGPS打刻・指静脈打刻が用意されています。これだけ候補があれば、自社に最も適した打刻方法を選べますね。

次に自動集計機能です。労働時間や休暇日数などの計測はすべて自動です。マネージャーや労務担当者が頭を抱えていた、毎月の集計業務も楽々解決。さらに、36協定超過抽出などの機能も搭載されています。

30日間の無料トライアルも1分で登録完了でき、スタートの敷居が低い点もおすすめです。

初期費用 無料
月額費用 2,200円〜(税込)
1ユーザー220円(税込)ずつの従量課金
無料プラン あり
対応デバイス Windows、Mac、iOS

 

CLOUZA

CLOUZAは、就業管理システムの国内最大手アマノグループが提供するサービスです。

シンプルに操作でき、PCだけではなくiPhoneとAndroid両方にアプリ対応しているため、外出先などからでも簡単に打刻できます。また、操作上の不明点がある場合には、電話で問い合わせるなどサポートを受けることもでき、安心して利用できるサービスです。

また、過去3年分のデータを出力でき、外部給与計算ソフト(弥生給与、PCA給与など)との連携にも強みを持っています。

初期費用 無料
月額費用 220円〜(税込)
1ユーザー220円(税込)ずつの従量課金
無料プラン なし
対応デバイス Windows、Mac、iOS、Android

 
 

画像引用:VCRM

web会議システム

web会議システムは、離れたところにいる人とインターネットを通じて、映像・音声を介して資料の共有などをしながら、会議を行えるシステムです。

これまでは1つのオフィスや会議室に全員が集まって会議やミーティングをしていましたが、テレワークの普及で、自宅とオフィス、自宅と自宅など場所を問わず会議が可能になりました。

そこで、おすすめのWeb会議システムを2つ紹介します。
 

VCRM

ナレッジスイート株式会社が提供しているVCRMインストールが不要な商談特化型web会議システムです。インターネット環境さえ整っていれば、「商談を始める」ボタンを押し、数字を伝えてもらうだけですぐにweb会議が始められます。

また、VCRMは事前準備が不要でアクセスも簡単なので、双方手間がかからないというメリットがあります。一方、Zoomに代表される汎用型web会議システムでは、会議URLの共有や事前招待などが必要なので会議開始までに時間がかかることもあります。

筆者自身、VCRMを利用してスムーズに商談することができました。双方メールアドレスを知らない状況で急な商談でしたが、問題ありませんでした。

さらに、プレゼン資料やカンペをトークスクリプト(台本)に設定できるため、頭が真っ白になっても安心して会議に参加できます。

初期費用 107,800円(税込)
月額費用 5,500円〜(税込)
無料プラン なし(トライアルは10日間あり)
対応デバイス Windows、Mac

 

Zoom

web会議といえば真っ先にZoomが思い浮かぶほど、世間に定着したweb会議システムです。Zoomビデオコミュニケーションズが提供するweb会議システムで、無料、プロ、ビジネス、エンタープライズの4プランあり、無料プランでも1対1ミーティングが最大24時間です。

また、有料プランのみではありますが、web会議の動画をクラウド保存でき、デバイスのデータ容量を圧迫することなく、会議の様子を見返すことができます。欠席者への情報共有や重要な部分を振り返るなど、再活用できるメリットがあります。

初期費用 無料
月額費用 1,600円〜(税込)
無料プラン あり
対応デバイス Windows、Mac、iOS、Android

 
 

完全テレワークにはクラウドサービスがキー

働き方改革から大きく普及したテレワーク。今後、完全テレワークへの移行に踏み切る企業も増えると予想されます。

より快適なテレワーク環境の整備が「情報へのアクセス」や「コミュニケーション」の問題を解決し、業務の生産性向上につながるでしょう。

そこで、大きく活躍するのがクラウドサービス。助成金やトライアルなどを活用して、クラウドサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

山浦寛貴
この記事を書いた人

山浦寛貴

山登り、犬と猫が大好きなライター。平日はジム、休日はHip-HopとR&Bを聞きながら読書をしています。