テレワークで発生した費用はどこまで経費申請できる?具体的な計算方法を紹介

東堂

東堂

2021.05.06
テレワークで発生した費用はどこまで経費申請できる?具体的な計算方法を紹介 イメージ

国主体で推進しているテレワーク。

総務省が掲げる「働き方改革」においても、ICTを活用したテレワークは中心的な役割を担っており、「働き方改革実現の切り札」とまで表現されています。

そうした背景もあり、テレワークを導入する企業は年々増加傾向に。テレワーク導入による業務効率改善を実感する企業が増える一方で、従業員側のある負担が大きくなっています。

それは「テレワークにかかる諸経費」。

この記事では、テレワークによって発生した費用はどこまで経費申請できるのか、詳しく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。


▼ 目次
1. テレワークとそれにかかる費用の現状
1-1. 9割の企業が可能な範囲でテレワークを導入
1-2. テレワーク実施世帯の約6割で通信費・光熱費が増加
1-3. 一方でテレワーク導入による手当は「ない」が約8割
2. テレワーク導入により発生するさまざまな費用一例
3. 経費申請できる主なテレワーク費用5つ
3-1. 通信費
3-2. 水道光熱費
3-3. 飲食費
3-4. 事務用品(パソコンなど)購入費
3-5. 消耗品購入費
6. まとめ


 

テレワークとそれにかかる費用の現状

まずは、テレワークとそれにかかる費用の現状を見ていきましょう。

テレワークはどの程度導入が進んでいるのか。それによって、家庭の負担は本当に増えたのかどうか。さまざまな資料をもとに、ファクトベースで現状を分析しました。早速解説していきます。
 

9割の企業が可能な範囲でテレワークを導入

一般社団法人 日本経済団体連合会が行った調査によると、緊急事態宣言下において「テレワークを原則実施している」と回答した企業(※)は実に9割。
※在宅勤務(テレワーク)が可能な業務において

テレワーク推進などによって削減できた出勤者は約87万人にのぼり、多くの人がテレワーク環境下で働くようになったことが分かります。

総務省が発表している「通信利用動向調査(平成30年)」もまた、テレワークに取り組む企業が増えていることを示しています。

調査によると、「テレワークを導入している」「導入していないが、今後導入予定がある」と回答した企業は、平成25年には12.6%に留まったのに対し、平成30年には26.3%まで増加。

全業種を対象とした調査のため導入水準自体は低いものの、導入あるいは導入予定企業の割合は、5年間で約209%に大きく増加しています。

このことから、今後も引き続きテレワークの導入企業が増え、テレワーク従事者も増加していくことが予測されます。
 

テレワーク実施世帯の約6割で通信費・光熱費が増加

先程の「通信利用動向調査(平成30年)」では、導入企業の81.6%が、テレワークの導入目的に対して「非常に/ある程度効果があった」と回答。

しかし、テレワーク従事者側の視点で見ると、あまり嬉しくないデータも出てきています。ポート株式会社の調査によると、テレワークによって通信費・光熱費が増えたと回答した人は67.7%。

月々の変動費用は「(1,001)~5,000円」と回答した人が60.7%にのぼり、少数派ではありますが、6.0%の人は5,000円以上も負担が増したと回答しています。

また、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの調査では、テレワークを始めた人のうち、およそ6割の世帯で電気使用量が増加していることが判明。

使用電力量は前年同期間と比べて136%に上昇し、電気代に換算すると平均1,700円ほどの負担増となっていることが分かりました。
 

一方でテレワーク導入による手当は「ない」が約8割

これらの調査により、テレワークによる在宅時間の増加が、家庭における通信費・光熱費の負担増に繋がっていることが分かりました。

しかし、ポート株式会社の調査では、テレワーク導入によって会社から手当・補助があったかという質問に対し、約8割の人が「ない」と回答。

多くの人が、テレワークによる経費を自己負担しているという、好ましくない現状が見えてきました。
 
 

テレワーク導入により発生するさまざまな費用一例

テレワークにかかる経費と聞くと通信費や電気料金が真っ先に思い浮かびますが、実は、さまざまな分野で経費が発生しているんです。その一例を見てみましょう。

テレワークで発生する経費の一例

・テレワークに適したWi-Fiプランへの変更
・WEB会議用のWEBカメラ、マイク付きヘッドホンの購入費
・仕事環境を整えるためのサブディスプレイの購入費
・テレワーク用のデスク・椅子の購入費
・テレワーク中に使用するための冷暖房器具の購入費
・紙やペン、切手、封筒などの事務用品の購入費
・プリンターのインクカートリッジやコピー用紙の購入費
・レンタルオフィス・コワーキングスペース利用料
・飲食費
・日用品の購入費 …

これらの諸経費をあわせてみると、想像よりもずっと負担が大きかったことに気付くかもしれません。

とりわけ、テレワーク用にWi-Fiプランを見直したり、WEBカメラやサブディスプレイといった周辺機器を購入したりした場合は、家計への負担が大きくなりがちです。

これらの経費は、本当にすべて自己負担すべきなのでしょうか。次の段落をご覧ください。
 
 

経費申請できる主なテレワーク費用5つ

テレワークで生じた費用は、原則として、企業側が補償するべきと考えられます。
しかし、実際には多くの人が自己負担を強いられているのが実情です。

この段落では、企業が負担するべきテレワーク経費について、
どのように経費申請すればいいのか
どの範囲で経費申請できるのか
を分かりやすく解説しています。

取り上げる経費は下記の5つです。

通信費

水道光熱費

飲食費

事務用品(パソコンなど)購入費

消耗品購入費

それでは、早速見ていきましょう。
 

通信費

国税庁が発表した「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」には、テレワーク経費の一部が非課税となる旨が記載されています。

通信費においては、以下の計算式で算出される金額が非課税対象となります。

1ヶ月の通信費 ×(テレワーク勤務日数 ÷ 該当月の日数)× 1/2

1/2の根拠については、1日24時間のうち、平均睡眠時間(8時間)を除いた16時間における法定労働時間(8時間)が占める割合から算出されています。

例えば、6月にテレワークを20日間行い、その月の通信費が10,000円だった場合、非課税となる範囲は以下のようになります。

10,000円 ×(20 ÷ 30)× 1/2 = 3,334円(1円未満切上げ)

 

水道光熱費

電気料金についても「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」に記載があり、以下の計算式で算出される金額が非課税となります。

1ヶ月の電気料金 ×(テレワークに使用した部屋の床面積 ÷ 自宅の床面積)×(テレワークの勤務日数 ÷ 該当月の日数)× 1/2

床面積の計算式が加わりますので、こちらの方が少々計算がややこしくなります。具体例を見てみましょう。

例えば、6月にテレワークを20日間行い、自宅床面積70㎡・テレワークに使用した部屋の床面積10㎡で、その月の電気料金が15,000円だった場合、

15,000円 ×(10 ÷ 70)×(20 ÷ 30)× 1/2 = 715円(1円未満切上げ)

となります。

水道代については、通信費・電気料金のように明確な基準がありません。企業側がルールを設定し、手当や補助を出す仕組みを定めることが求められます。
 

飲食費

飲食費についても、国指定の基準はまだありませんが、
自宅にテレワーク環境がなく、やむを得ずカフェやレストランを利用する場合
作業環境を確保するため、コワーキングスペースなどを利用する場合
のように、就業場所の確保を目的とした場合であれば、テレワーク経費として捉えることができます。

ただし、明らかに食べることを目的とした場合の飲食費は経費扱いとなりませんのでご注意ください。このあたりのルールは企業によって異なるため、勤め先に確認することをおすすめします。
 

事務用品(パソコンなど)購入費

事務用品の購入費についても「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」に明記されています。

これによると、テレワークに必要な事務用品を購入するためであれば、企業が従業員に支給する金銭は非課税になるとされています。

金銭の支給方法は、以下の2パターンに分かれます。
企業側が従業員に必要経費を仮払いしておき、領収書などをもとにして精算
従業員側が必要経費を立て替えておき、領収書などをもとにして精算

どちらの方法においても、購入費が分かる領収書などは必須となります。テレワークに必要な事務用品を購入した際は、必ず領収書やレシートを保管しておくようにしましょう。
 

消耗品購入費

目につきにくい部分ではありますが、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの消耗品も、テレワークによる在宅時間増加に伴って消費が増えてしまいます。

ただし、これらの消耗品は業務外での使用頻度も非常に高いため、どこまで経費扱いできるかの考え方が難しい部分でもあります。

この点をクリアにするためには、勤め先への確認が一番です。事務用品同様、購入時の領収書やレシートは必ず手元に保管したうえで、勤め先に相談するようにしましょう。
 
 

まとめ

国がテレワークを推進しているにも関わらず、経費関係の基準整備はまだまだ不十分。明確な基準が定まっていないため、企業によって、経費扱いできる範囲や、手当・補助の範囲も大きく異なることでしょう。

しかし、何もせずにいては、ただいたずらに自己負担が増えてしまうだけです。

一般的に、オフィスよりも限定された環境での就業が強いられるテレワーク。テレワークの導入が、業務効率面での負担だけでなく、家計にまで負担を与えないために、この記事が役立ちましたら幸いです。
 

東堂
この記事を書いた人

東堂

読書好きが高じて小説家デビューを果たした物好き。クラシック音楽とお菓子作りを好みます。