テレワークでは縛りのあるモバイルWi-Fiよりテザリングで通信環境を構築しよう!

小山安博

小山安博

2021.05.24
テレワークでは縛りのあるモバイルWi-Fiよりテザリングで通信環境を構築しよう! イメージ

テレワークの普及で、自宅の通信環境を見直そうという人も多いでしょう。ただ、固定回線を新たに敷設するのはハードルが高く、モバイルWi-Fiサービスを使おうという人もいるかもしれません。

ただ、今年に入りスマートフォンのデータ通信料が大幅に値下げされたことで、スマートフォンのテザリングでも安価にテレワークが行えるようになりました。

モバイルWi-Fiサービスに3,000~4,000円程度を支払うなら、テザリングでも同等の価格帯で収まるようになっています。

自分が仕事で使うデータ量を見極め最適なプランを選べば、スマートフォンのテザリングだけでも比較的安価に自宅の通信環境を構築できるのです。


▼ 目次
1. 「気兼ねしない」データ量を検討する
2. キャリアの上位プランを検討する
3. 20GB以下ならキャリアの低価格プランも
4. サブブランドを活用する
5. MVNOを使う
6. 自分に適した容量で、仕事の変動もカバー
7. まとめ


 

「気兼ねしない」データ量を検討する

自宅で仕事をするリモートワークでは、通信回線が必需品です。

回線には光回線などの固定回線を敷設する場合と、携帯回線を利用する場合の2パターンがあります。最も手軽なのは、現在使っている携帯回線をそのまま利用することです。自宅のノートPCにテザリングで繋げば、すぐにリモートワークができるので簡単です。

リモートワークで必要なのは一定以上の通信速度とデータ容量です。特にZoomやMicrosoft Teamsのようなweb会議を行う場合、1時間で数百MBの容量が必要になります。

web会議では相手の映像も表示されるため、画質を落とすと確かに容量節約になりますが、画質の悪い映像を見続けるとストレスが強まります。相手側がプレゼン資料などを共有している場合、画質が悪いとテキストが読めないという問題もあります。

逆に、こちら側の映像を相手が見る場合も、画質が悪いとプレゼンがうまく伝わらない懸念もあります。相手側が高画質なのに、こちらが低画質だと一方的に相手にストレスを与えることにもなりかねません。

とはいえ、それだとデータ容量も増大しますので、携帯電話のデータ容量には注意が必要です。

必要なデータ量は、利用頻度に応じて大きく変わります。毎日web会議があって、プライベートでも動画を視聴したり、ゲームをしたり、といった使い方をする人だと大容量が必要でしょう。

めったにweb会議はないし、動画も見ないという人なら最小限でも十分でしょう。とはいえ、大容量の画像・動画データをやり取りする仕事もありますし、仕事内容によって自分の利用量を把握するのが大事です。

ここでのポイントは、「気兼ねしないで使った場合」のデータ量を把握することです。

「節約して使って急遽大容量が必要になったけどデータ量が足りなかった…」ということがないように、「特に我慢をせずに使った場合は最大どの程度のデータ量が必要なのか」という観点で考えると、仕事でデータが足りないというミスが避けられます。
 
 

画像引用:NTT docomo

キャリアの上位プランを検討する

ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルという4キャリアは、政策によって値下げされた料金プランを提供しています。

普段、低容量プランを利用していた人も、これを機に上位プランを検討するのもいいでしょう。追加で回線を契約するより、安価に済む可能性もあります。

プラン名 料金 容量 テザリング
NTTドコモ 5Gギガホ プレミア 7,315円 無制限 無制限
au 使い放題MAX 5G 7,238円 無制限 30GB
ソフトバンク メリハリ無制限 7,238円 無制限 30GB
楽天モバイル Rakuten UN-LIMIT VI 3,278円 無制限 無制限
NTTドコモ
プラン名 5Gギガホ プレミア
料金 7,315円
容量 無制限
デザリング 無制限
au
プラン名 使い放題MAX 5G
料金 7,238円
容量 無制限
デザリング 30GB
ソフトバンク
プラン名 メリハリ無制限
料金 7,238円
容量 無制限
デザリング 30GB
楽天モバイル
プラン名 Rakuten UN-LIMIT VI
料金 3,278円
容量 無制限
デザリング 無制限

キャリアの上位プランで最も安いのは楽天モバイルです。というより、楽天モバイルには1プランしかありません。

スマートフォン単体でもテザリングを使っても無制限で3,000円台という料金ですが、さらに1GB未満なら月額0円、20GBまでなら2,178円と利用量が変わると料金が安くなります。

問題はエリアがまだ限られていることで全国エリアだとまだauローミングを使っている場所も多く、その場合、毎月のデータ量は5GBに制限されます。「自宅や会社、普段の移動エリアが圏内である」ならば、楽天モバイルは選択肢として一番でしょう。

次いで、ドコモの5Gギガホ プレミアが全てデータ無制限で、全く容量を気にする必要がありません。

エリアも日本全国をカバー。3GB未満であれば1,650円引きになりますが、そこで我慢するよりは、気にせずにデータを使った方がいいでしょう。

auとソフトバンクもスマートフォン利用では無制限かつ3GB未満だと1,650円引き。ただ、テザリングだと30GBまでとなります。

PCではオンライン会議や仕事のデータのやり取りのみ、動画やゲームはスマートフォンで、という人であれば十分でしょう。ただし、これも自身で使う容量をきちんと見極める必要があります。
 
 

画像引用:LINEMO

20GB以下ならキャリアの低価格プランも

自分の容量を見極めた結果、20GB以下だったとしたらどうでしょう。

毎日web会議を何時間もやるというわけでなければ、20GBまでいかない可能性もあります。その場合、キャリア各社の20GB以下プランも検討範囲に入ります。

料金 容量 音声
ahamo 2,970円 20GB 5分無料
povo 2,728円 20GB +500円(5分無料)
LINEMO 2,728円 20GB +500円(5分無料)
楽天モバイル 2,178円 20GB 0円(アプリ利用)
ahamo
料金 2,970円
容量 20GB
音声 5分無料
povo
料金 2,728円
容量 20GB
音声 +500円(5分無料)
LINEMO
料金 2,728円
容量 20GB
音声 +500円(5分無料)
楽天モバイル
料金 2,178円
容量 20GB
音声 0円(アプリ利用)

ahamoはやや高くなっていますが、5分間の音声定額が含まれています。povoとLINEMOは500円をプラスすれば5分間の音声定額が利用可能。楽天モバイルは同一プランで、20GB未満までは2,178円で済みます。

ここでも楽天モバイルが最安。音声も専用アプリを使えば無料で固定・携帯を問わずに発信できます。20GB以上になっても最大3,278円で済みますし、1GB未満なら無料と、1回線持っていても損はありません。やはりここでもエリアの問題がついて回ります。

他3社は通常プランと同様のエリア・通信速度なので、そういった点での問題はありません。音声が不要ならいずれも3,000円を切る価格なので安価に抑えられます。

いずれもテザリングを使っても20GBまで追加料金不要。自宅と会社の双方で働くテレワークとのハイブリッドならば十分な容量でしょう。

ただし、楽天モバイルを除くと各社20GBプランは店頭サポートがありません。何かトラブルがあったときなど、店頭でのサポートを必要とする人には向いていないので注意してください。
 
 

画像引用:UQ mobile

サブブランドを活用する

15~20GB程度で、店頭サポートが必要ならキャリアのサブブランドも候補に入ります。

au系列のUQモバイルとソフトバンク系列のワイモバイルの2種類があります(正確には上述のLINEMOもソフトバンクのサブブランドという位置づけですが、今回は分けています)。

3GB 15GB 25GB
ワイモバイル 2,178円 3,278円 4,158円
UQモバイル 1,628円 2,728円 3,828円
ワイモバイル
3GB 2,178円
15GB 3,278円
25GB 4,158円
UQモバイル
3GB 1,628円
15GB 2,728円
25GB 3,828円

価格差はありますが、ワイモバイルの場合は家族割があるため家族で切り替えるとお得になります。

料金としてはキャリアの20GBプランよりやや高めですが、家族割やUQモバイルのデータ繰越を使うことで、お得になる可能性もあります。

テザリングも無料なので、日々の仕事内容によって検討するといいでしょう。
 
 

画像引用:イオンモバイル

MVNOを使う

キャリアの通信料金が下がったということは、MVNOも安くなっています。そのため、同容量であればMVNOの方が有利になります。

MVNO(仮想移動体通信事業者)というのは、MNO(移動体通信事業者=ここではキャリアと同義語)が構築した携帯網を借り受けて通信サービスを提供します。

インフラコストがかからない分、割安にサービスを提供できます。単に割安と言うだけでなく、キャリアとは異なる独自サービスで差別化を図っている例も増えています。

例えば、IIJmioは20GBで2,068円。細かく容量が分かれており、15GB、8GB、4GB、2GBからもプランを選択できます。テレワークで使うということであれば最低でも8GBは必要でしょう。

ここでも下手に気兼ねするのではなく、気兼ねしない容量で自分のデータを検討し、選択するといいでしょう。

8GB 10GB 14GB 15GB 20GB
IIJmio 1,518円 1,848円 2,068円
イオンモバイル 1,848円 2,068円 2,288円 2,398円
OCNモバイル 1,760円
nuroモバイル 1,485円
mineo 1,958円 2,178円
日本通信 2,178円
IIJmio
8GB 1,518円
10GB
14GB
15GB 1,848円
20GB 2,068円
イオンモバイル
8GB 1,848円
10GB 2,068円
14GB 2,288円
15GB
20GB 2,398円
OCNモバイル
8GB
10GB
14GB 1,760円
15GB
20GB
nuroモバイル
8GB
10GB 1,485円
14GB
15GB
20GB
mineo
8GB
10GB 1,958円
14GB
15GB
20GB 2,178円
日本通信
8GB
10GB
14GB
15GB
20GB 2,178円

各社それぞれ特色がありますが、昼時の密集エリアで速度が遅くなることもあります。自宅周辺だとそれほど影響ない場合もあるでしょう。

一度安価なMVNOに切り替えてデータ量を把握しつつ、速度が遅くなるかどうかのチェックをしても良さそうです。

メイン回線に追加してMVNOを契約して、問題なければメイン回線を移行し、もう1回線は解約するという方法でもいいでしょう。
 
 

自分に適した容量で、仕事の変動もカバー

重要なのは、最近は「2年縛り」のような契約がなくなっている点です。キャリアのプランもサブブランドも、MVNOも、いずれも自由に移行できるようになっています。

逆にモバイルWi-Fiルーターを使う通信サービスは2~3年契約も多く、自由度は低くなっています

そのため、テレワークの形態が変わって不要になった場合も中途解約しづらいという課題があります。

現在契約しているのがキャリアなら、まずは大容量プランに移行して存分に気兼ねなく使い、自身のデータ量を把握するというのがいいでしょう。

1GB未満無料の楽天モバイルを契約してみて、自分の行動範囲が圏内かどうかチェックするのも1つの手です。問題なければ、安価なプランとなります。

また、リモートワークで特にweb会議をする場合には下り速度だけでなく上り速度も重要になります。その場合、キャリアがやや有利でしょう。

iPhoneのように、デュアルSIMの端末を持っていれば、メインのスマートフォンに加えてデータ通信用に楽天モバイルや一部のeSIM対応サービスを利用して、複数のSIMを使い分けるという使い方もあります。
 
 

まとめ

急遽テレワークになった、引っ越したばかりで固定回線を敷設していない。そんな場合でも、今契約している携帯のプランを見直すことで、普段のテレワークから臨時のテレワークまで対応できます

MNPの自由度が増しているので、あまり深く考えずにとりあえず移行しチェックをして、自分の生活に適したプランを選ぶといいでしょう。

今後、リモートワークが縮小したらプランを変えるなりMNPをするなりして、日々の生活にあわせたプランを選ぶ。そうした自由なプラン選びができるようになっているのです。
 

小山安博
この記事を書いた人

小山安博

ネットニュース編集部で編集者兼記者、デスクを経て2005年6月から独立して現在に至る。専門はキャッシュレス決済、セキュリティ、デジカメ、携帯電話など。発表会取材、インタビュー取材、海外取材、製品レビューまで幅広く手がける。

Twitter
Web