パソコンというと、WindowsやMacが2大勢力として一般的ですが、ここ最近は第三の勢力として企業や教育現場で導入されているケースが増えている「Chromebook(クロームブック)」に注目が集まっています。
特にテレワークやオンライン授業の導入が加速しており、パソコンが家に1台しかないと、家族でパソコンの取り合いになるということも。
また、自宅以外でテレワークやオンライン授業を行う際には、軽量で持ち運びやすい2台目のパソコンが欲しいというユーザーも多いはず。
そこで今回はChromebookについて、WindowsやMacとの違い、導入時のメリット・デメリットといった解説に加えて、おすすめChromebookをピックアップして紹介します。
▼ 目次
1. Chromebookとは?
2. WindowsやMacとの違い
3. Chromebookのメリット
4. Chromebookのデメリット
5. こういう人にChromebookはおすすめ
6. おすすめモデルの紹介
6-1. ThinkPad C13 Yoga Chromebook
6-2. ASUS Chromebook Detachable CM3
6-3. HP Chromebook x360 14c
Chromebookは、Gooogleが開発したパソコン向けOS「Chrome OS」を搭載したノートパソコンです。ちなみに「Chrome OS」を搭載したデスクトップは「Chromebox」と呼ばれています。
登場したのは2011年で約10年前。当初はウェブブラウザの「Chrome」が動作するのみだったため、ウェブブラウジング用PCという印象でしたが、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートなど、ブラウザ上で動作する各種サービスが増加したことにより、WindowsやMacなどと同じように使えるシーンが増えてきています。
また、Androidのアプリも一部Chromebookで動作するようになっています。そのため、画像編集といったスマートフォンで行っていた作業をChromebookでもこなせるのも、近年注目を集めている理由のひとつです。
ChromebookがWindowsやMacと大きく違うのは、インターネットに接続した状態で使用するのが前提になっていることです。
作成したファイルをChromebookに保存することもできますが、基本的にはGoogleストレージなどに保存するようになっています。
また、WindowsやMac用に作られたソフトをインストールしたり使用することはできません。あくまでChrome OS向けにChrome上で動作するアプリや、一部のAndroidアプリのみとなっています。
オンライン会議向けのサービスも、Zoomなど一部サービスでChrome向けのアプリが用意されているので利用可能です。
そのほか、Chromeで動作するサービスなどは問題なく利用可能。WindowsやMacのユーザーも、基本的にはChromeを使っているだけであれば、スムーズに移行しやすいと思います。
ChromebookはWindowsやMacと比べて比較的動作が軽いため、スペックをおさえた製品でも軽快に動作します。そのため導入コストをおさえられるのがメリット。
日本のGIGAスクール構想でも2020年度のシェアは43.8%(MM総研調べ)とトップになっているのも、そのあたりがひとつの要因です。
例えば、Chromebookの場合、低価格モデルは2万円台からラインアップされています。Windowsでも激安モデルとして同価格帯で購入可能ですが、快適に作業するにはかなり厳しい製品がほとんどです。
一方、Chromebookの場合は格安モデルでも快適に動作する製品が多いので、「WindowsやMacをもっているけど、もう一台サブマシンが欲しい」というユーザーが手軽に購入できるパソコンとしておすすめです。
また、Chromebookはタッチ対応モデルが多く、タブレットととして使用できるモデルがほとんど。動画や電子書籍などを気軽に楽しむためのタブレットとして、パソコン以外のもう一台といった使い方もおすすめです。
さらに、Androidスマートフォンとの連携もメリットのひとつ。
2021年3月のアップデート(Chrome OS M89)から「Phone Hub」という機能が追加され、Chromebook側からAndroidスマートフォンのテザリングをオンにするといった連携機能が利用できるようになりました。
iPhone+MacやiPadと同じような使い方ができるので、Androidスマートフォンユーザーにはおすすめのパソコンと言えます。
Chromebookもメリットばかりではありません。デメリットとしては、やはり対応するアプリが少ないため、WindowsやMacのようにあれもこれもと作業はできません。特に動画編集に関してはアプリも少なく、マシンパワーも弱いため得意ではありません。
また、対応する周辺機器が少ないのもデメリットのひとつ。
USBメモリーやSDカードといった外部ストレージの読み込みは可能ですが、スキャナーなど専門的な周辺機器は使用できないケースがほとんどです。
プリンターに関してはGoogle Cloud Print対応プリンターであればネットワーク経由で印刷できますが、やはりUSBなどで直接つないでの利用はできません。
Chromebookはビジネス用の文書や授業のレポート、プレゼンテーションなどを作成するには十分な機能を持っています。
さらに、写真編集などはアプリやサービスも充実しているので問題なし。ちょっとした作業をするために、コストを抑えてパソコンを導入したいユーザーにおすすめです。
また、別途パワフルなWindowsやMacを持っているがセカンドマシンとして持ち歩いて使いたいといったユーザーにも、軽量モデルが多くリリースされているのでピッタリです。
「ThinkPad C13 Yoga Chromebook」はThinkPadブランドを冠した初のChromebookで、キーボードにはThinkPadの象徴とも言える赤いトラックポイントを装備しています。
ディスプレーは13.3インチ(1920×1080ドット)で10点マルチタッチに対応。さらに360度に回転するので、タブレットスタイルやテントスタイルでも利用可能です。
そのほか、指紋認証センサーや内蔵収納できるスタイラスペンも装備。
HDMIやType-Cからの映像出力にも対応しているので、外出先でプロジェクターにプレゼンを投影したり、自宅でディスプレーとつなげてマルチディスプレー環境で作業といった使い方にも対応しています。
CPU | AMD Athlon Gold 3150C |
---|---|
メモリー | 4GB |
ストレージ | eMMC 64GB |
ディスプレイ | 13.3インチIPS液晶、タッチ操作対応 |
解像度 | 1920×1080ドット |
インターフェース | USB 3.1 Type-C×2(DisplayPort対応)、USB 3.0×2、microSDカードスロット |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Webカメラ | 前面92万画素/背面500万画素 |
本体サイズ | 約307.56(W)×212.1(D)×15.5〜17.9(H)mm |
重量 | 約1.497kg |
実売価格 | 9万8000円(税別) |
ASUSの「ThinkPad C13 Yoga Chromebook」は、背面カバーとキーボードを取り外すことで506gと軽量なタブレットとしても利用できるChromebookです。
ディスプレーは10.5インチ(1920×1200ドット)の液晶パネルでタッチ操作対応。本体にはスタイラスペンも搭載されており、タッチ操作だけでなくペンでの書き込みといった作業も行えます。
背面カバーはスタンドにもなり、キーボード装着時の横置きだけでなく縦置きにもなるので、利用シーンに合わせて使い分けができるのもポイントです。
CPU | MediaTek MT8183 |
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メモリー | 4GB |
ストレージ | eMMC 128GB |
ディスプレイ | 10.5インチ液晶、タッチ操作対応 |
解像度 | 1920×1200ドット |
インターフェース | USB 2.0 Type-C×1 |
無線LAN | Wi-Fi 5 |
Webカメラ | 前面192万画素/背面800万画素 |
本体サイズ | 約255.44(W)×167.2(D)×7.9(H)mm(本体) 約255.44(W)×167.2(D)×16.9(H)mm(キーボード・スタンドカバー装着時) |
重量 | 約506g(本体) 915g(キーボード・スタンドカバー装着時) |
実売価格 | 5万800円(税込) |
14インチ(1920×1080ドット)と大型のディスプレーを搭載しており、作業がしやすいのが特徴の「HP Chromebook x360 14c」。
ヒンジ部分は360度回転するため、タブレットとしても利用可能な2in1タイプとなっている。
プロセッサーは第10世代Intel Core i5 10210Uを搭載しており、Chromebookとしてはパワフル。写真の編集といったヘビーな作業もラクラクとこなせるので、メインで使用するパソコンとしても十分なスペックです。
指紋認証センサーのほか、本体側面にウェブカメラをオフにするボタンも装備しているので、セキュリティー対策もバッチリ。ビジネスシーンでも安心して使用できるChromebookです。
CPU | Intel Core i5-10210Uプロセッサー |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | eMMC 128GB |
ディスプレイ | 14インチ液晶、タッチ操作対応 |
解像度 | 1920×1080ドット |
インターフェース | USB Type-A×1、Type-C×2 |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Webカメラ | 前面92万画素 |
本体サイズ | 約321(W)×206(D)×17.9(H)mm |
重量 | 約1.65kg |
実売価格 | 8万2800円(税込) |
中山智
海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
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