コンテンツを制作する際に、こんな課題をかかえられている方は多いのではないでしょうか?
・日本人のフリーランスに外注しても同じようなテイストになってしまう
・外国人向けのコンテンツを日本人が翻訳しても正しく伝わっているかわからない
・海外にプロモーションしたいが外国人視点のコンテンツ制作の仕方がわからない
外国人フリーランサーと一緒に刺さるコンテンツ制作をしている筆者が、上記に挙げた課題を具体的に解決していく方法、コツをこれからご紹介します。
▼ 目次
1. 外国人フリーランサーに外注するメリット、デメリット
1-1. メリット1 日本人視点とは違ったクリエイティブ
1-2. メリット2 母国語の安心感
1-3. メリット3 刺さるプロモーション
1-4. デメリット1 言葉の壁
1-5. デメリット2 日本の当たり前が通じない
2. 外国人フリーランサーに外注するプロセス
2-1. Step1 フリーランサーの気持ちを考える
2-2. Step2 SOWをまとめる
2-3. Step3 SOWを書く時に便利なツール
2-4. Step4 仕事を依頼する
2-5. Step5 依頼テンプレートをご紹介
2-6. Step6 クロージング、クオリティ管理
3. 外国人フリーランサーの費用感
4. まとめ
まず、外国人フリーランサーに外注するメリット、デメリットについて整理していきましょう。メリットは大きく3つあります。日本人とは違ったクリエイティブが作れること、母国語だからこそ生まれる安心感、刺さるプロモーションにつながることです。反対にデメリットは、言葉の壁、日本の当たり前が通じないことが挙げられます。それでは詳しくみていきましょう。
日本人と外国人では文化、言語も異なるためクリエイティブのテイストも大きく異なります。百聞は一見にしかずということで、以下は、外国人クリエイター、海外在住歴が長いクリエイターが制作した大阪、茨城、東京の紹介動画です。一般的な日本の地域紹介動画との違いを感じてみてください!
こういった日本人では生み出しにくいテイストを外国人クリエイターは表現してくれます。
記事制作では、母国語で書くかどうかが重要です。皆さんも過去に日本語がネイティブではない方の文章をみて「てにをは」などに違和感があることを経験された方もいるかと思います。同じように、読み手が英語話者の場合は英語ネイティブに書いてもらうことで、誤字脱字を防ぎ、ネイティブ視点で読みやすい文章となります。
英語話者向けの記事であれば、対象とする記事コンテンツに精通していて、母国語が英語で、第二言語として日本語のわかるライターを起用していくことが望ましいです。
自社の商材を海外に向けて情報発信をしたい場合は、海外のファンを持つインフルエンサーの活用や、外国人クリエイターの活用は不可欠です。メリット1で説明したように、現地のユーザー目線で刺さるプロモーションを実行してこそ成果は出ます。
こちらは、飛騨高山のインバウンド向け遊戯施設の紹介動画です。現在600万回再生数を突破しており、動画公開後に売上が2倍に伸びています。外国人からすると遊戯施設は、音がうるさくて、よくわからない、近寄り難い存在でした。そのため、この動画ではパチンコとは何か、中毒性などの社会問題もわかりやすく解説し、視聴者が持つ疑問を解消していきました。最後に、この店舗は他の遊戯施設と異なり、音が控えめで、お酒が飲めるカフェスタイルになっていること、出玉とおみやげを交換して地域を知ることができることを伝えました。
外国人がかかえる遊戯施設に対する疑問の解消と、他店との違いが伝わったことで認知度の向上、集客につながる結果となりました。外国人ならではの視点での課題定義、問題解決のアプローチは、外国人クリエイターでこそできることです。
外国人フリーランサーに仕事をお願いするにはデメリットもあります。最も大きな課題は、言葉の壁です。英語がネイティブレベルの方は問題ないですが、そもそも、英語が話せない、英語に抵抗がある方は外国人フリーランサーとやり取りができないため、英語が堪能な同僚、友人に協力を依頼する必要があります。英語が多少話せる人はGoogle翻訳を使いながらチャレンジしてみましょう!
日本の当たり前も通じないケースも多く見受けられます。日本では納品後の支払いが一般的ですが、国やクリエイターによっては前金でなければ難しいケースもあります。依頼時に明確にコミュニケーションを図らなければ後々トラブルになってしまうケースもあります。日本特有のあうんの呼吸は外国人には通用しません。海外では契約社会が基本ですので、依頼事項を日本以上にしっかりと準備する必要があります。
ここまで外国人フリーランサーに外注するメリット、デメリットについて書きました。ここから具体的に外国人フリーランサーに外注するプロセスについてご紹介します。
当たり前のことですが、相手の気持ちを考えることは非常に重要です。日本と同じく売れっ子のクリエイターは1日数件〜数十件の問い合わせが来ます。その中で選ばれるためにはどうすればいいのでしょうか?答えはシンプルでYes or Noの判断をしやすくしてあげることです。そのコツについてこれからご紹介しましょう。
Yes or Noをわかりやすく判断してもらうには、わかりやすいSOWを提示することが重要です。SOWとはScope of Workの略で、仕事の範囲を決めることを意味しています。書き方は非常にシンプルで以下のような内容になります。
・Project purpose: Get more awareness for our service(URL)
目的はサービスの認知度を高めること
・Deliverables: 1 YouTube video + Analytics data for the video
1本のプロモーション動画、公開後のアナリティクスデータの共有
・Content image: 1 dedicated video like this video(URL)
コンテンツのイメージ
・Schedule: First draft by MM/DD
スケジュール
・KPI: XXX,XXX views for one month
KPIは再生数を◯◯再生獲得すること
・Project fee: XXX,XXX JPY
プロジェクトの費用は◯◯円
・Time of payment: MM/DD
お支払いのタイミングは◯◯です
SOW、コミュニケーション時に便利なのはGoogle SheetsとGoogle翻訳です。
SOWをGoogle Sheetsにまとめておけば、リンクを貼って送ってYes or Noをクリエイターが判断できるため非常に便利です。また、Google翻訳を使ってメール、メッセージをコピペして翻訳することで英語が苦手な方でもある程度コミュニケーションを取ることができます。
SOWが準備できたら次はいよいよクリエイターへの依頼です。
日本で言うクラウドソーシングサイトの大手として、海外ではup workが挙げられます。クラウドソーシングサイトの大手なので、サポートの安心感と、さまざまな種類のソーシングに対応しているところが良い点です。日本で言うランサーズのようなイメージです。掲示板に仕事の依頼をして、それに応募してもらうような形式です。
翻訳、文字の書き起こしではrevも便利です。こちらもプラットフォーム型のサービスで、ネイティブの翻訳者、書き起こしをする方々が控えており、案件に応じてマッチングしていきます。YouTube動画を多言語化したい、サイトの多言語化などを検討する際にはフィットするプラットフォームです。金額も文字数、尺に応じて明朗会計で提供されています。
クリエイターにダイレクトにお願いするケースも増えてきています。ブログ、YouTube、Instagram、Vimeoなどのプラットフォームに自分の作品をポートフォリオとして掲載しているクリエイターに対してメール、DMを通じて依頼します。作品が掲載されている安心感がある一方で、ビジネスに無頓着なクリエイターも中にはいるため注意が必要です。
依頼する際のコツは繰り返しになりますが、Yes or Noで判断してもらえる内容にしていくことです。ここではYes or Noで判断してもらえる依頼テンプレートをご紹介します。
メールタイトル:
Request for your blog post
本文:
Dear クリエイターの名前,
Hello! This is 自分の名前 who is in charge of 職種(salesなど) at 所属(会社名). We are Japanese 業種 company, and looking for a good writer to promote our service. Please find this project’s SOW we attached SOWのURL. If you are interested or not, please let us know.
Best regards,
自分の名前
日本語訳ですと以下のような内容になります。
タイトル:
ブログ投稿のリクエスト
本文:
◯◯さま
こんにちは、私は◯◯社の◯◯を担当している◯◯と申します。私たちは日本の◯◯業の会社でサービスをプロモーションしていただけるブロガーを探しています。こちらにSOWを共有いたしますのでご確認ください。ご興味があるかどうかお知らせいただけますと幸いです。
以上、よろしくお願いいたします。
◯◯より
SOWで合意形成が取れたら、可能であれば電子サインをしてもらいましょう。Adobeサインなどのサービスを使うとSOWをPDF化して簡単に電子契約を作ることができます。契約後に、スケジュールに沿ってクリエイターに作業を進行してもらいましょう。
メールだとタイムリーにやりとりが難しい場合は、FacebookやWhatsAppでクリエイターとつながりましょう。メールを確認する頻度よりもソーシャルメディアを確認する頻度が高い方が多いためスムーズなやり取りが可能です。
頼むクリエイターのレベルによりけりのため概算になります。価格は物価に紐づくため、日本と物価が近いところであれば、正直なところコストダウンという観点ではメリットは出にくいです。北米市場は、日本と大きく物価が変わらないため日本のフリーランサーに依頼するのと大きく金額は変わりません。
・外国人クリエイターに依頼するメリットは、外国人視点ならではのコンテンツが作れる点
・デメリットは言葉の壁、契約社会のため依頼事項を明確化する必要がある
・依頼のコツはYes or Noの判断をさせやすくすること
・Yes or Noを判断させるためにはSOWの整理が重要
・SOWは目的、納品物、内容、スケジュール、KPI、費用、支払いのタイミングを明確化する
・依頼のテンプレートを活用してクリエイターに依頼する
・コミュニケーションはFacebook、WhatsAppを使って効率的に
いかがでしたでしょうか?ぜひ、この記事の内容を活用して外国人のクリエイターを活用してみてください!
中川智博
滋賀県出身、同志社大学卒、IT企業、デジタルエージェンシーを経て、Tokyo Creative株式会社に入社。新卒から一貫してデジタルマーケティングの企画営業に従事。現在では外国人目線で海外向けデジタルマーケティング事業を手掛けるTokyo CreativeのCOOとして事業を推進している。自治体、DMO、企業の海外デジタルマーケティングを100社以上支援しており、観光・デジタルマーケティングに関連する講演実績多数。