「フリーランスになるぞ! 」
夢と希望に満ち溢れた人生の大勝負に出るとき、十分な準備をせずに飛び出してしまっては、出だしからつまずいてしまいかねません。
裏を返せば、退職前から計画的に準備を重ねた人ほど良いスタートが切れ、そのまま軌道に乗っていく可能性が高くなります。
本記事ではフリーランスになるために、退職前後でやっておくべきことについて解説いたします。
▼ 目次
1. 税金や社会保険のコト
1-1. 開業届と青色申告承認申請書の提出
1-2. 健康保険の切替え
2. お金まわりのコト
2-1. 事業用口座の開設
2-2. クレジットカードの作成
3. 営業準備のコト
3-1. 職場環境の整備
3-2. ホームページや名刺を用意する
3-3. 見積書や請求書、契約書の準備
3-4. 会計システムの選定
4. まとめ
まずは税金や社会保険に関する手続きを確認しましょう。
これまでは勤務先の給与から所得税や社会保険料が天引きされ、最終的には年末調整まで行われることによって、“会社任せ”にしていた部分もあるかもしれませんが、フリーランスとなるからには手続きもすべて自分で行わなければなりません。
具体的に必要な手続きは以下の3点です。
まずは税金関係の手続きとしては「開業届」と「青色申告」が代表的なものとなります。
これらは開業前だけでなく開業後の提出も可能ですが、青色申告を行うための承認申請書に関しては、開業日から2ヶ月以内に提出しなければ開業年での青色申告ができなくなってしまいますので、提出期限にはくれぐれもご注意ください。
これらの税務上の提出書類については別記事で詳しく解説しておりますので、ぜひこちらをご参照ください。
会社で加入していた健康保険についても、「国民健康保険へ切替える場合」や「任意継続とする場合」など、いくつかの方法から選択することとなります。
フリーランスとなる場合の健康保険に関しても別記事で解説しておりますので、以下のリンクをご参照ください。
フリーランスになるとお金の管理を自分で行うことになるので、退職前に売上が入金される事業用口座の開設や仕入れなど支払いするための事業用クレジットカードの作成は済ませておきましょう。
事業用口座の開設は必須ではありませんが、プライベートの通帳と分けた方が管理しやすいため、ぜひ事業用の口座を準備するようにしましょう。
ちなみに屋号入りの通帳を作ることもできますが、多くの金融機関では「開業届」の控えが必要になりますので、先に開業届を提出しておくとスムーズな手続きが可能となります。
口座と同様に、クレジットカードについても事業専用のカードを用意しておくと管理が楽になります。
しかし、脱サラしてフリーランスとなったばかりの状態は「〇〇株式会社○年勤務」から「フリーランス1年目」になった状態であり、社会的信用が低下しているため、クレジットカードを作成しにくい場合があります。
したがって事業用のクレジットカードは、退職前にあらかじめ作成しておくことをお勧めします。
フリーランスとして開業するのであれば、同様に「お金を稼ぐこと」も重要となります。
1日、2日では準備できないものもあるので、フリーランスになってから営業準備をしてビジネスチャンスを逃してしまわないように退職前後で準備を行うようにしましょう。
フリーランスとして働く環境を整備することも重要です。
これはどこかにオフィスを借りる場合に限った話ではなく、自宅で開業する場合にも仕事場としての環境を整備しないと業務に支障をきたしかねません。
パソコンや専用ソフト、デスク回りの備品をはじめ、仕事場とプライベート空間を切り分ける工夫も必要となるかもしれません。
また近年では、自宅開業の場合にもバーチャルオフィスというサービスを活用し、ビジネス住所や電話番号を格安で取得できたり、打合せ時の応接スペースを借りれたりもできます。
自由の歩き方を運営している株式会社ワンストップビジネスセンターもバーチャルオフィスを運営しておりますので、ぜひ参考ください。
開業後に滞りなく業務を進められる環境かどうか、ぜひ勤務先を退職する前にシミュレーションしてみましょう。
自分がどんな事業をやっているのか、どんな人なのか、会社から独立をすると相手にすぐわかってもらえない場合があります。
自分の事業を紹介するツールとして、ホームページや名刺を用意しましょう。特にホームページは一般的なコーポレートサイトだと1ヶ月以上の制作期間が必要になることが多いです。
フリーランスになったのに自分の事業を紹介できるツールがないとビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあるので、退職前に準備を進めておきましょう。
フリーランスでは、契約書から見積書、請求書まで自分で用意をして発行します。
例えば、契約書がないと仕事を受注した後で作業内容を追加されてしまったり、支払い時期を先延ばしされてしまうかもしれません。請求書がなければ、売上が入金されません。
退職後でも準備はできますが、仕事を受注する前には各ひな形を準備してスムーズに仕事ができるように備えておきましょう。
フリーランスとして開業する場合には、確定申告を行うために日々帳面をつける必要がありますが、近年ではマネーフォワードやfreeeのようなクラウドサービスを利用するケースが増えつつあります。
フリーランスとして活動をはじめると、すぐに仕入れや営業活動、広告費などお金を動かすことになると思いますが、帳簿の記帳を溜めてしまうと業務時間が削られてしまうかもしれません。
日々記帳ができる体制を整えとくために、退職前に会計サービスの選定と契約は済ませておきましょう。
ちなみに上記の会計クラウドサービスを契約すると請求システムも併せて利用できるようになるため、先ほどの見積書や請求書などのひな形の準備についてもまとめて解決できます。
今回はフリーランスとして開業する際に、勤務先を退職する前後でやっておくべき準備について解説しました。
解説した項目には、退職してからではできないこと、フリーランスになってからでもできるが時間がかかるものがあります。
退職前に開業準備を進めるのは簡単なことではありませんが、「退職前にやっておけばよかった」と後悔しないように、しっかりと計画を立てて実行に移していきましょう。
服部大
2020年2月、30歳のときに愛知県名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界内で数少ない若手税理士として、同年代の経営者やフリーランス、副業に取り組む方々にとっての良き相談相手となれるよう日々奮闘している。
顧問業務だけでなくスポットでの税務相談や執筆活動も行っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えることができる専門家を志している。
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