テレワークを導入した企業では、生活リズムも大きく変わりました。環境が変わると、睡眠の長さや質も変化します。テレワーク中に睡眠の質が下がった人は3割にも及ぶという調査結果もあるんです。
「良い睡眠」が大切なのは知っているけれど、仕事が忙しくてそれどころじゃない!という人も多いかもしれません。しかし、実はテレワーク中こそ「良い睡眠」を心がけることでパフォーマンスを向上させることもできるんです。
今回はテレワークと睡眠の関係と「良い睡眠」がもたらす効果についてみていきましょう!
▼ 目次
1. テレワークこそ「寝る人は育つ」?睡眠の効果とテレワーク
1-1. 「質」の良い睡眠は体も心も元気にする
1-2. テレワークの普及が睡眠時間に及ぼした変化とは?
1-3. テレワーク中のトラブルは睡眠の質の低下が原因かも!
2. 休憩はOKサボりはNG!テレワーク中の「昼寝」
2-1. テレワークで「昼寝」が習慣化した人は28.6%
2-2. テレワーク中の「昼寝」は仕事の効率をあげる!
2-3. これはNG!服務規則を無視した居眠りは「サボり」
2-4. テレワークの睡眠不足は「昼寝」で解消できる?
3. テレワーク中の「質」のいい睡眠に必要な3つのポイント
3-1. 日光もスマホも!光を調整する
3-2. 上がると活動的に、冷めると眠く…体温
3-3. テレワーク中でも整えよう!生活リズム
4. (まとめ)睡眠の習慣を見直して、テレワークのパフォーマンス向上を!
世界的にも平均睡眠時間が短いと言われる日本人。2014年には厚生労働省が「健康づくりのための睡眠指針 2014」を発表するなど、国全体で睡眠の質をあげる取り組みも進んでいます。
しかし、テレワークによって大きく変わった生活リズムが睡眠に影響をあたえていると答えた人は4割以上にもなるという調査結果も。睡眠とテレワークの関係性について、まとめました。
夜になってもなかなか眠れず、うとうとしながら朝を迎える。いつも、ちゃんと寝た気がしない…という人、それは不眠症かもしれません。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、いまや日本人の5人に1人は不眠症の状態にあるそうです。
同省が運営するスマート・ライフ・プロジェクトのウェブサイトでは「質のいい睡眠で、カラダも心も健康に」という特集ページが組まれています。
それによると睡眠には眠気や疲労の解消だけでなく、記憶の定着、ホルモンバランスや自律神経の調整、さらには免疫力の向上効果があることまでわかってきたそうです。
また、睡眠の質が低下すると生活習慣病などの疾患リスクがあがったり、うつ病を発症したりすることがあることも明らかにされました。睡眠はわたしたちの心と体に大きな影響を及ぼしているのです。
テレワークをはじめとした勤務体制の変化によって、わたしたちの生活習慣は大きく変わりました。そのことは睡眠にも影響しています。
みんかつが行った「コロナが睡眠に及ぼした影響に関するアンケート」では、睡眠時間が「短くなった」と答えた人が23%、「長くなった」と答えた人が21%になりました。どちらも原因の1位は「生活リズムの乱れ」です。
先述したブレインスリープの調査でも、睡眠の質が高いとされたのは「ほぼ毎日在宅勤務を行っている人」と「在宅勤務を全くしたことがない人」。反対に最も睡眠の質が低下していたのは「週に1~2回在宅勤務を行っている人」でした。
テレワークそのものが睡眠に悪影響を及ぼすのではなく、生活リズムを一定に保てないことが、睡眠の質を下げているのです。
出勤・テレワークに関わらず、起床時間や食事の時間などのリズムを安定させることが良い睡眠を得るためのポイントと言えそうです。
集中力が続かない、コミュニケーションがうまく取れない…というのは、典型的なテレワークのデメリットです。けれどもその問題、実は睡眠不足が原因の一つになっているかもしれません!
Harvard Business Reviewの「神経科学が解き明かす、仕事より睡眠を優先すべき理由」では、睡眠不足の弊害として「簡単なことでもやり方を忘れる」「長期記憶が損なわれる」「攻撃性や不安感を持ちやすい」「人間関係を危険に晒す」が挙げられています。
つまりパフォーマンスが低下したり、イライラしやすくなったりするということ。いわゆる「寝不足」の症状ですが、テレワークのトラブルとも重なりますよね。
どんなに注意してもミスが減らない、コミュニケーションがうまく取れないという人は、睡眠を見直してみるといいかもしれません。
今後もしばらく不安定な社会情勢が続きそうです。快適なテレワークのためにも、体のSOSはこまめに受け止めてあげましょう!
テレワーク中は見ている人もいないから、ついうとうと…という経験がある人もいるのでは。睡眠不足解消のためとはいえ、業務中に居眠りはまずいですよね。
テレワーク中に休息としての「昼寝」を上手に取り入れるにはどうしたらいいのでしょうか。サボりにならない「昼寝」のポイントをみていきましょう。
コアラスリープジャパン株式会社の「新型コロナ禍における睡眠」に関する調査では、在宅勤務やホールスクリーニングによって睡眠リズムが乱れたことで、メンタル・体調不良が顕在化することが指摘されています。
この調査では、特に10代から20代の学生の「睡眠リズム」が崩れていることも明らかになりました。
一方で「接客」や「外飲み」の減った会社員世代では、むしろ「就寝時間が早くなった」という回答も。さらにテレワーク中に「昼寝」や「仮眠」をとる習慣ができたと答えた在宅勤務経験者は28.6%にのぼりました。
わたしも子供が家にいる日のテレワークでは、昼寝の時間にあわせて横になることもありました。ぐっすり眠ることはありませんが、布団の上でストレッチしたり、目を閉じて休んだりすることで頭もすっきりします。
スペインではかつて、シエスタと呼ばれる昼寝の文化が根付いていました。「昼寝」の習慣として、この言葉を聞いたことのある人も多いのでは。
シエスタとは、スペイン語で「昼休憩」のこと。本当は「昼寝」のことではありません。日照時間の長いスペインでは、ランチのあと、自宅ソファなどでくつろぎながら20分程度の仮眠をとるそうです。
これは集中力を高め、脳や体をリフレッシュさせる効果があると言われています。
日本でも厚生労働省が2014年に発表した「健康づくりのための睡眠指針 2014」で、夜間に必要な睡眠時間を確保できなかった場合に30分以内の短い昼寝を取ることが推奨されています。
一人での業務が続くテレワークでは、どうしても集中力が途切れがち。どうしてもぼんやりしてしまうときは、思い切って短い昼寝を取ってみましょう。
そのぶん休み時間を短くする、終業時間を少し遅らせるなど全体の勤務時間が短くならないような工夫を!
いくら作業効率をあげるためといっても、布団に入ってぐっすり…というのはやりすぎです。服務規則に違反すると懲戒勧告を受けることもあります。
昼寝もあくまで休息の時間と考え、スマホを近くに置くなど、すぐに連絡が取れるようにしておきましょう。
判断に迷ったときは、それは「休憩」か「サボり」か、が基準になります。休み時間やランチタイム中の15分の昼寝や、デスクワークで疲れた目を癒すために10分間のホット・アイマスクは「休憩」ですよね。
反対に、自分の仕事をほかの人が待っているのに寝てしまうのはサボりです。状況やタイミングをみて、ふつうの休憩時間と同じように、業務に大きな支障が出ないことを第一に考えましょう。
そのさいはベッドではなく、椅子やソファに背中をあずけて体を休めましょう。昼寝は業務の合間に時間を決めて、がポイントです。
テレワークによって短くなった睡眠時間を補うことのできる昼寝。ただし、昼寝をすれば夜更かししても大丈夫!というわけではありません。
「午後の眠気対策としての短時間仮眠」では、日中の短時間の仮眠がパフォーマンスを維持することに効果的ではあるものの、慢性的な睡眠不足の解決はできないと結論づけています。
夜の睡眠を見直さなければ、睡眠の問題の根本的な解決にはなりません。体や心の不調は、睡眠不足が長引けば長引くほど深刻になっていきます。昼寝は飽くまで補助的なものと考え、できるだけ規則正しい睡眠時間を確保しましょう。
厚生労働省SLP「質のいい睡眠で、カラダも心も健康に」には「質」の良い睡眠について言及されています。
大切なのは「光」「体温」そして「生活リズム」。良い睡眠のためには、この3つを上手に組み合わせることがポイントです。
わたしたちは朝起きてから眠るまで、さまざまな種類の光を浴びています。特に日光を浴びると胎内でホルモンが分泌され、脳の働きが活発になり、生活リズムが整うと言われています。
一方、夜にはなるべく光を浴びないようにし、就寝時間にはスマホなどの強い光を避けることも大切です。光の強弱で朝と夜とを体に教え、自然な流れで一日を過ごせるようにするのです。
テレワーク中は通勤もなく、気がつくと一日中PCの前にいたということにもなりがち。カーテンを開ける、休憩時間は窓際で過ごすなど積極的に光を浴びる工夫をしましょう。
また、天気がいい日は軽い運動を兼ねて散歩に出かけるのもおすすめです。わたしは公園や図書館などで仕事をすることもありますが、外に出ると気分転換になり、いいアイデアが浮かぶこともあります。
人の体は、体温が上がると活動的になります。そして体温が下がることで睡眠の質が高まるのです。同サイトでは、就寝90分前の入浴が推奨されています。
お風呂で体を温め、リラックスしたあとはスマホやテレビを消して、ゆっくり過ごしましょう。この時間にラジオを聞いたり、本を読んだりするのもいいですね。
わたしはこのタイミングで資格の勉強をすることもありますが、復習を兼ねて参考書を読む程度のほうがいいようです。翌朝もう一度同じところを見直すと、すっきり整理できる気がします。
テレワークでは、終業後もプライベートとの切り替えがうまくできず、ついぼんやり過ごすうちに時間が過ぎていることも。睡眠時間から逆算して、入浴や食事の時間を決めておきましょう。
朝起きてから寝るまで、時間の使い方を自分で決められるのがテレワークの良いところ。半面、自分の意思だけで規則正しい生活を送るのはなかなか難しいものです。
朝はカーテンを開けて日光を浴び、新聞やニュースで情報収集。ゆっくり食事をとってから仕事をし、夕暮れにはカフェインを控えて麦茶や牛乳を。
食事のあとで入浴し、90分間は自由時間…というように一日の流れをざっくり決めておくと、充実した一日を過ごすことができます。
前述した光や体温の調整も考えながら、自分の生活にあったリズムを整えましょう。大切なのは、そのリズムを大きく乱さないこと。
今日は夜更かしだったから明日は早寝、では体はかえって混乱します。無理のない程度に、毎日を自分のリズムで生活することが大切です。
心と体の健康に大きくかかわる睡眠。その「質」のためには、日中の生活リズムが大切です。テレワークで働き方が大きく変わったように、現代は生活そのものも大きな変化を迎えています。
そんなときだからこそ、自分の体をよく観察し、不調に早く気付くことで、早め早めの対処を心がけたいですよね。睡眠の「質」も崩れてきたと思ったら早めに改善することが大切です。
この機会に自分の睡眠を見直して、テレワークでも高いパフォーマンスを発揮しましょう!