クラウドソーシングでワーカー募集ページの依頼文面を作るコツ

伊藤 陽介

伊藤 陽介

2020.05.08
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「クラウドソーシングで募集してみたけど、全然人が集まらない」
「応募は来たけど、希望している内容と違う提案が来た」
「納品されたけど全く使い物にならない・・・」

「クラウドソーシングは使い物にならない」と思っている人も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、クラウドソーシングが使いものにならないのは、
「仕事内容や仕事の目的がクラウドワーカーに正しく伝わっていないから」
である可能性が高いです。

「クラウドソーシングは使えない」と言う人たちに募集ページの改善アドバイスをした結果、クラウドワーカーだけで仕事が回るようになったケースを多く見てきたからです。

・・・というわけでこんにちは、株式会社ビズヒッツの伊藤陽介と申します。

私がクラウドソーシングサービスを最初に利用したのは「ランサーズ」で、登録日は2012年6月12日となっています。

ランサーズのプロフィール

これまで幾度となくクラウドソーシングの使い方を改善し続け、現在はランサーズ以外にも、クラウドワークス、シュフティ、ココナラなど、複数のクラウドソーシングを利用しています。

そして現在、クラウドソーシング「Craudia(クラウディア)」運営のWEBメディア「クラレポ」の監修者兼アドバイザーをしています。

クラウドソーシングをうまく活用するポイントはいくつかあります。

そのなかでも当記事では、最初に知っておきたい「募集ページに書く依頼文面のコツ」をご紹介していきますね。

記事を読み終わる頃には、ワーカー応募者が集まる「募集ページの構成」や「依頼内容」を明確にイメージできていることでしょう。
 


▼ 目次
1. 募集前の準備として本人認証確認を行う
2. ページ最上部の「仕事概要」部分は「仕事内容の総まとめ」を書く
3. 仕事内容の説明ではなく仕事の目的(ゴール)を伝える
4. 箇条書きを活用する
5. 募集ページのタイトルは最後に完成させる
6. 完成後の依頼文面は第三者にチェックしてもらう
7. ワーカーからの質問は依頼文に追加する
8. 募集終了後の改善作業
9. まとめ


 

募集前の準備として本人認証確認を行う

募集ページを作る前に必ずやっておくべきことがあります。

それは、「本人認証確認」をすることです。

筆者自身、本人認証をする前と後でワーカーからの応募数に倍以上の差がつきました。

「今までなぜしていなかったんだろう」と後悔しかありません。

発注者であるあなたは、「ワーカー(受注者)がきちんと仕事をしてくれるかどうか」不安を感じると思います。

同じようにワーカー側も、「怪しいクライアントじゃないといいな…」「ちゃんと報酬を支払ってくれるかな?」と不安を感じています。

報酬単価の安いタスク形式なら気にしないワーカーもいますが、報酬単価の高いプロジェクト形式やコンペ形式では、本人認証がないことを理由に応募しないワーカーも少なくありません。

なかでも「ランサーズ」は、本人認証の確認が必須です。

募集ページの最上部に「認証済みではないクライアントからの依頼です」と表示されるためですね。

認証済みではないクライアントからの依頼です

本人認証確認が完了すると、「認証済みクライアントからの依頼です」と表示されるようになります。

認証済みのクライアントからの依頼です

もしも、まだ本人認証確認をしていない方は、募集ページ作成前に必ず行いましょう。
 
 

ページ最上部の「仕事概要」部分は「仕事内容の総まとめ」を書く

多くのクラウドソーシングサイトでは、募集ページの一番うえに「仕事概要」を記載するようになっています。

この「仕事概要」部分には、「仕事内容のまとめ」を書きましょう。

ホームページを見にきたユーザーは、「3秒以内に今見ているページが自分にとって必要かどうか」を判断すると言われているからです。

3秒以内に必要でないと判断したユーザーは、ブラウザの戻るボタンを押して去っていくことから、『WEBの3秒ルール』と呼ばれています。

参照:3秒が許容範囲 – Webサイトのパフォーマンスが重要な理由 | マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20121211-a025/

「何の仕事なのか」を3秒で理解してもらうために、ページの一番上にある「仕事概要」部分には、仕事内容が具体的かつ明確にわかる「まとめ」を書く必要があるわけですね。
 
 

仕事内容の説明ではなく仕事の目的(ゴール)を伝える

依頼文面を作るうえで重要なのは、募集ページを見にきたワーカーに「仕事内容の説明」をするのではなく、「仕事内容の目的(ゴール)」を理解してもらうことです。

「どのような目的でこの仕事を募集しているのか」を理解してもらうことで、目的を達成するために必要なスキルを持ったワーカーが応募してくれるようになるからです。

クラウドソーシングでは、下記のような募集ページの基本テンプレートも用意されていますが、このまま使うのはNG。

テンプレートのままでは、単なる仕事内容の説明になってしまいます。

クラウドワークスの依頼文面テンプレート

参考:クラウドワークス

では、依頼文面でワーカーに「仕事内容の目的」を伝えるにはどうすればいいのでしょうか。
 

目的(ゴール)の見本を掲載する

仕事の目的(ゴール)と言っても、何をどう書けば良いのかわからない・・・そんな人におすすめの簡単な方法があります。

それは、目的(ゴール)の見本を掲載することです。

実例として、以下のページ内にある「画像使用の目的」部分を見てみましょう。

例)スマホの写真でもOK!埼玉県の大宮周辺の派遣会社が入居しているビルや建物の写真撮影をお願いします。
https://www.lancers.jp/work/detail/2978029

■画像使用の目的

画像使用する目的は、各派遣会社の入居しているビルや建物の画像を差し込むことで、ページを観たユーザーたちが、よりスムーズに派遣登録会場まで足を運べるようにするためです

※見本例「千葉県(船橋エリア)のおすすめ人材派遣会社一覧」
https://media.bizhits.co.jp/archives/3871

上記ページと同じように対象となる建物の画像撮影と納品をお願いします

ワーカーがURLをクリックして見本ページを見ることで、「どんな写真を撮影すればよいのか」を直感的にイメージできます。

もしライターを募集するのであれば、「見本の記事」を見てもらうことで、あなたのイメージに近い記事の仕上がってくる確率が高まるでしょう。
 
 

箇条書きを活用する

仕事内容をわかりやすく伝えるためには、箇条書きにすることをおすすめします。

文字で埋め尽くすように依頼文を書く人もいますが、読みにくいためおすすめできません。

どんなに魅力的な仕事でも、文章を読んでもらえなければ応募がこないからです。

文章のみと、箇条書きにした場合を比較してみましょう。

※文章で書いた場合

■報酬・納期・納品方法について

報酬は2,000円、納期は一週間以内、納品方法についてはワードファイル、もしくはGoogleドキュメントでお願いします。

※箇条書きで書いた場合

■報酬・納期・納品方法について

報酬:2,000円
納期:一週間以内
納品方法:ワードファイル or Googleドキュメント

いかがでしょうか。

箇条書きにすることで、伝えたい内容がひとめでわかりますよね。

箇条書きはワーカーが読みやすいだけでなく、ページ作成者自身が依頼内容のミスや抜け漏れに気づきやすいメリットもあるので、ぜひ取り入れてください。
 
 

募集ページのタイトルは最後に完成させる

募集ページのタイトルを完璧に決めてから依頼文を書く人も多いと思いますが、タイトルは最後に完成させましょう。

依頼文を作成するなかで、当初は考えていなかった内容の追加や変更点が出てくることは多々あるからです。

最初はザックリとした仮のタイトルで十分です。

実際の例をご紹介します。

例)スマホの写真でもOK!埼玉県の大宮周辺の派遣会社が入居しているビルや建物の写真撮影をお願いします。
https://www.lancers.jp/work/detail/2978029

はじめは「スマホの写真でもOK」という考えはなく、仮のタイトルとして「大宮の派遣会社が入っているビルの写真画像を撮影してきてください」でした。

依頼文を作る中で、「プロのカメラマンが撮影した写真の必要はなく素人がスマホで撮影した写真で良い」と決まったことで、タイトルの頭に「スマホの写真でもOK」を追加しました。

もし、この「スマホの写真でもOK」の文言が入っていなければ、タイトルを見た瞬間に「写真撮影のプロじゃないからムリ」と思い、仕事内容を見てもらえない可能性もあります。
 
 

完成後の依頼文面は第三者にチェックしてもらう

募集ページが完成したら、第三者からチェックとフィードバックをしてもらいましょう。

作成した本人が何度見直しても気づけないミスや抜け漏れも、第三者が見るとすぐに気づくことが多いためです。

チェックポイントは以下の5つです。

ミスや抜け漏れはないか

仕事の目的が伝わるか

報酬価格は適正か

追加したほうが良い内容はあるか

タイトルを観ただけで何の仕事かわかるか

 

実例をご紹介します。

例)スマホの写真でもOK!埼玉県の大宮周辺の派遣会社が入居しているビルや建物の写真撮影をお願いします。
https://www.lancers.jp/work/detail/2978029

当初は、「画像ルール」部分の一番上に書いてある「横向き画像」の指定はしていませんでした。

・横向き画像
ビル全体を入れようと、縦向き画像を撮影したくなるかもしれませんが、ビル全体は入らなくて良いので、横向き画像でお願いします

ホームページでは横向き画像の方が使いやすいため、「ビル全体を入れようとして縦向きで撮影する人が多いのでは?」というスタッフからのフィードバックを元につけ加えた内容です。

「自分ではうまく書けている」と思っていた依頼文が、第三者が読むと「何を言いたいのかわからない」と、最初からやり直しになることもありますよ。
 
 

ワーカーからの質問は依頼文に追加する

募集開始後、仕事内容に対してワーカーから質問がくることもあります。

そのなかには「依頼内容に書いておくべきだった」と思う質問メッセージもあります。

必要な内容はすぐに依頼文に追記し、今後同じ内容の募集をする場合はテンプレートにも追加しておきましょう。

追記することで、何度も同じ質問がくることを防げます。

以下は実例です。

例)スマホの写真でもOK!埼玉県の大宮周辺の派遣会社が入居しているビルや建物の写真撮影をお願いします。
https://www.lancers.jp/work/detail/2978029

上記の仕事に興味を持ったワーカーから「納品する写真画像のファイル名はどうすればいいですか?」と質問がきました。

他のワーカーから同様の質問がくることを想定し、すぐに追記部分に書き込みをしました。そして、次回以降は依頼内容自体に含めています。

ランサーズの追記

このように質問に対する回答を加えていくことで、依頼ページをブラッシュアップすることができます。
 
 

募集終了後の改善作業

募集終了後には、スタッフと一緒に改善作業をします。

出てくる問題点は、主に以下の3つです。

応募がゼロ、もしくは少ない

ワーカーがイメージ通りの仕事をしてくれない

ワーカーとのムダなやり取りが多い

 

1.応募がゼロ、もしくは少ない

応募がゼロ、もしくは少ない場合に考えられる原因は以下の3つです。

1. 仕事内容が難しすぎて、業務をこなせる人がいない
2. 募集ページを見にきたワーカーに、依頼内容が正しく伝わっていない
3. 報酬単価が安すぎる

ひとつずつ見ていきましょう。

まず1つ目は、仕事内容が難しすぎて、業務をこなせる人が少ないケースです。

イメージしやすいところで言えば、高度なプログラミングやシステム開発の依頼などが挙げられます。

2つ目は、募集ページの文面がわかりにくく、ワーカーに依頼内容が伝わらないケースです。

筆者の主観では、これが最も多い原因と考えています。

依頼文を編集して再募集したところ、応募が殺到した経験を何度もしているためですね。

3つ目は報酬単価が安すぎることです。単価を上げたことで募集が増えるケースは少なくありません。
 

2.ワーカーがイメージ通りの仕事をしてくれない

「ワーカーからの納品物がイメージとかけはなれていた」と悩む人は多いです。

考えられる原因は以下の2つです。

1.仕事の目的(ゴール)が伝わっていない
2.ワーカーのスキル不足

当記事では、『ワーカーに仕事の目的(ゴール)を伝えることの重要性』を説明してきました。

仕事の目的を伝えるためには、仕事の内容を具体的に記載したり、使用するホームページの見本を掲載したりすることが効果的です。

しかし実際、依頼文に具体的な仕事内容を書かない人はとても多いです。

理由としては、「ワーカー以外の人に具体的な仕事内容を知られたくない」というのが大きいのではないでしょうか。

たとえば、アフィリエイトサイトやブログ運営をしている場合、ライバルサイト運営者にどんなことをしているのかバレたくないと考える人も多いです。

会社に内緒で副業をしている人は、詳細なプロフィールや具体的なサイトを載せることはリスクが大きいと感じるでしょう。

こういった場合、仕事の目的(ゴール)について理解できていないワーカーが、依頼者のイメージと違う仕事をしてしまうわけですね。

他には、ワーカーのスキルが足りないため「やってみたもののできなかった」ということもあります。

中途半端な状態のまま納品されたモノをみて、「イメージとぜんぜん違う」となってしまうわけですね。

改善方法として作業用マニュアルを用意するのもアリですが、継続案件以外はおすすめできません。

マニュアル作成には手間も時間もかかるため、単発や数回で終わる仕事のたびにマニュアルを用意するのは効率が悪いためです。

ほかの即戦力となるワーカーから応募がくるまで、募集し続けることをおすすめします。
 

3.ムダなやり取りが多い

募集ページを改善することで、ムダなやり取りを減らしましょう。

何度も質問や回答をすることは、依頼者・ワーカー双方にとって時間的ロスが大きく、非効率だからです。

質問をされるたびに仕事が中断されることであなたはイライラしてしまい、回答を待つ間仕事が進められないワーカーは無駄な時間を過ごさなければいけません。

どちらにとっても、良いことはありません。

実例を紹介します。

※改善前

スマホの写真でもOK!新宿の派遣会社が入居しているビルや建物の写真撮影をお願いします。
https://www.lancers.jp/work/detail/2971407

※改善後

スマホの写真でもOK!大阪梅田の派遣会社が入居しているビルや建物の写真撮影をお願いします。
https://www.lancers.jp/work/detail/2985700

改善した部分としては、以下2点です。

画像ルールの変更

見出し画像に使用する写真の例を改善

それぞれの理由について解説していきます。
 

1. 画像ルールの変更

複数の派遣会社が同じビルに入っていた場合、当初はビルの写真1枚で良かったものを、「派遣会社ごとに別の角度から撮影する」に内容変更しました。

※改善前

・同じ建物に派遣会社が複数ある場合は1枚でOK
同じビル内に複数の派遣会社が入居している場合もあります。その場合はムリに複数枚撮影する必要なく、1枚だけでOKです。

※改善後

・入居している建物がカブっている場合は派遣会社ごとに別角度から撮影する
対象の派遣会社が同じビルや建物内に入居しているケースも多々あります。その場合は、派遣会社ごとに別角度からの写真をお願いします

改善した理由は以下の2つです。

1. 毎回ワーカーに指示する手間をはぶくため
2. 写真の見栄えの悪さを避けるため

改善前は、下記のような指示を出しています。

※スタッフサービスとマンパワーは、同じビル内なので1枚でOK。
合計13枚となります。

しかし上記の方法だと、同様の仕事を依頼する際に、「同じビル内に派遣会社のかぶりがないかを調べてワーカーに指示する」という手間が毎回発生します。

また、同じビル内に複数の派遣会社が入っている場合、同ページ内に同じビルの画像が並ぶことで見栄えが悪くなってしまいます。

上記2点を改善するため、同ビル内に複数の派遣会社が入っている場合は、別角度から撮影した写真を用意してもらうというルールを決めたわけですね。

 

2. 見出し画像に使用する写真の例を改善

該当部分は以下となります。

※改善前

【1.見出し画像に使用する写真×4枚】
新宿を代表する場所4ヶ所の写真を撮ってきてください。
例)JR新宿駅、歌舞伎町の入り口、西口のビル群、新宿都庁、アルタ前など

※改善後

【1.見出し画像に使用する写真×4枚】
大阪梅田を代表する場所4ヶ所の写真を撮ってきてください。(※建物、観光名所、主要駅など)

当初は撮影をしてほしい場所の具体例を記載していましたが、問題点が出てきました。

発注者に土地勘がないと、例に挙げている場所が本当にその土地を代表する場所として最適なのかわからないという点です。

また、ビルや建物の写真と同じように、毎回調べて書きかえる手間をはぶくためにも、同じ文章で使い回せるように改善しました。

 
 

まとめ

いかがだったでしょうか。

この記事を読んで納得できた方は、筆者の基本校正をぜひそのままマネしてください。

以下の構成テンプレート通りに作ってもらえれば、簡単にできるはずです。

■募集ページの構成テンプレート

・仕事概要(仕事内容の総まとめを端的に書く)
・仕事の目的(ゴール)
・仕事のルール
・今回お願いしたい仕事
・報酬・納期・納品方法
・禁止事項
・読んで頂いた方へお礼の挨拶

とくに、「ワーカーに仕事の目的(ゴール)を伝えること」には全力を注いでください。

内容については以上となります。

「募集ページをどう作れば良いのか」「すでに募集しているけどうまくいっていない」とお悩みの方にとって、少しでも参考となれば幸いです。

伊藤 陽介
この記事を書いた人

伊藤 陽介

2010年に会社倒産時をキッカケとして、在宅ワークの組織化に取り組み、当時10名以上の内勤スタッフを全て在宅ワークへと変更。三重県鈴鹿市に本社事務所を置いたまま、自身は東京へと住まいを移す。
 
現在も東京~鈴鹿間をはじめ、大阪、京都、滋賀、千葉、札幌など、各地域の在宅ワーカーさんたちとのリモートワークによる経営スタイルを維持。在宅ワークマネジメントの専門家として、セミナー講演や記事執筆、監修など多数。
 
株式会社ビズヒッツ代表取締役
 

伊藤 陽介のプロフィール