バーチャルオフィス利用でも安心して使える銀行口座とは?
GMOあおぞらネット銀行に聞く、起業初期に最適な金融機関と口座開設時のポイント
起業を決意したとき、必ず直面する法人銀行口座の壁
「バーチャルオフィスでも法人の銀行口座は作れるの?」
「どの銀行にすれば審査が通りやすいの?」
そんな不安や疑問をお持ちの方は少なくありません。
近年、金融犯罪の増加や審査の厳格化により、法人名義の銀行口座の開設ハードルは高くなっています。特に、物理的な拠点を持たないバーチャルオフィス利用者にとっては、「本当に審査に通るのか」「不利にならないか」といった懸念がつきものです。
そこで今回は、GMOあおぞらネット銀行 法人営業ご担当の遠藤さんに、法人口座開設に関する実情や審査のポイント、スモールビジネスを支えるサービスについてお話を伺いました。
「バーチャルオフィスだから口座開設できない、は誤解。事業実態をきちんと説明すれば法人口座は開設できる。」
これから起業をお考えの方にとって、きっと参考になる内容です。
対談者
GMOあおぞらネット銀行株式会社
セールス&マーケティンググループ マーケティング統括チーム マーケティングチーム
遠藤零那
株式会社ワンストップビジネスセンター
取締役社長
生田泰啓
ー ここ最近、口座開設するのが難しくなっているということを耳にすることがありますが、現在の金融業界を取り巻く状況やトピックスについて教えてください。
近年、金融犯罪の手口は高度化・多様化しており、特にSNSを利用した投資詐欺やロマンス詐欺、インターネットバンキングを悪用した不正送金などが急増しています。例えば、2023年にはSNS型投資詐欺とロマンス詐欺の被害額が合計で1,059億円を超え、特殊詐欺の被害額を上回る深刻な状況となっています。
また、インターネットバンキングに関わる不正送金の被害額も過去最多を記録し、その多くが暗号資産交換業者の口座に送金されていることが報告されています。
ー 確かに、物騒なニュースが多いですよね。その様な状況の中で御行の対応方針を教えてください
金融犯罪の手口が年々巧妙化・多様化する中、銀行としては「申請者の人物や事業内容を確認するだけでなく、実際に事業が行われているかどうか」を丁寧に見極める必要性が一層高まっています。そのため当行では、口座開設時の審査だけでなく、開設後の取引状況における不審な動きのモニタリングや定期的な実態確認を通じ、リスクの抑制に取り組んでいます。
一方で、厳しくすることが目的ではありません。事業に真摯に取り組むお客さまには、むしろ安心してご利用いただけるよう、わかりやすい審査基準の提示や、事業内容を正しく伝えるためのガイド提供など、良質な利用者の獲得を支援する取り組みもあわせて進めています。
このように、当行では「リスクの排除」と「事業者支援」の両立を目指し、バランスの取れた対応を進めています。
ー 続いて口座開設についてです。単刀直入にお伺いしますが、バーチャルオフィスを利用していても、口座開設は可能でしょうか?
はい、可能です。実際に、シェアオフィスやバーチャルオフィス利用者の口座開設数も年々増加しています。ワンストップビジネスセンターからも多くのお客様をご紹介いただいています。先程、郵便管理の現場も拝見しましたが、郵便物の受け取り・保管・転送の対応がしっかりしていたので、改めて好印象を持ちました。
ー 口座開設の審査で重視しているのはどんな点でしょうか?
もっとも重視しているのは、「本当に事業を行っているかどうか」、または「事業の準備がどれだけ具体的か」という点です。法人設立直後であっても、事業の実態が確認できれば、問題なく審査が通るケースは多くあります。
以下のような書類や情報をご用意いただけると、事業の実態が確認しやすいです。
特に創業初期で、まだ特定の取引先がない場合は、契約書の締結が完了していないことも多く見られます。そのような際は、商品開発の企画書やサービスのモックアップ、事業計画書、営業活動の記録(送信済みのメールや提案書など)といった、「実際に事業に着手していること」が伝わる資料があると、事業実態の裏付けとして有効です。
ー 審査をスムーズに進めるためのアドバイスはありますか?
はい、いくつかのポイントを押さえていただくことで、審査をよりスムーズに進めることが可能です。
本人確認書類や事業内容を説明する資料(事業計画書、Webサイトなど)を事前にご用意いただくこと。何を目的とし、どのような手段で収益化するかなど、事業の全体像を第三者に説明できるよう整理しておくことも良いでしょう。
また、事業内容や連絡先、代表者情報が記載されたWebサイトがあると、信頼性が伝わりやすくなります。資本金は事業規模に応じて設定しましょう。形式上の金額ではなく、当面の運転資金をまかなえるよう、100万円以上が望ましいとされています。
これらの準備を行うことで、事業の実態や計画の具体性を明確に伝えることができ、結果として審査もスムーズに進みやすくなります。
ー 審査を受ける際に注意すべきことはありますか?
はい、いくつか注意点があります。
例えば:
・無料ドメインのみで作成した簡易的なWebサイトだけでは、事業の具体性が十分に伝わらない可能性があります
・顧問税理士との契約書など、「事業内容そのもの」に直接関係しない書類では、補強資料としての評価が難しいこともあります
重要なのは、「この人は本気で事業を始めようとしている」と思ってもらえるだけの情報の質と説得力です。見た目の立派さよりも、“中身”を意識して準備するとよいと思います。
ー 固定電話や資本金額などは審査に影響しますか?
いいえ、固定電話の有無や資本金の額そのものは、基本的に審査結果に影響しません。それよりも重要なのは、どのような事業を行い、どのような取引先や関係者とつながっているのか――つまり、事業のリアリティです。
例えば、実際の活動内容や収益化の見込みが具体的に説明できれば、資本金が少額でも口座開設できるケースは多くあります。
ー バーチャルオフィスの住所を利用していると、不利になることはありますか?
いいえ、バーチャルオフィスを利用しているからといって、審査で不利になることは一切ありません。実際に、当行でも多くのバーチャルオフィス利用者が口座を開設しています。
ただし、注意点がひとつあります。登記不可の施設や、郵便物の受け取りができない住所を利用している場合は、口座開設ができません。口座開設後、ログイン情報などを「転送不要の簡易書留郵便」でお送りするため、確実に受け取れる環境が必要です。
ワンストップビジネスセンターは法人登記可能で郵便物も問題なく受け取りできますし、契約者向けに口座開設のサポートもされているようなので、ご相談されるとよいと思います。
ー これまでのお話で、事業内容をしっかり示すことの大切さがよく分かりました。実際、口座開設を希望される方の審査通過率はどれくらいなのでしょうか?
当行の直近のデータでは、口座開設の審査結果は以下のような傾向となっています。
審査通過(開設成功):約60~65%
必要書類の未提出や要件未達でキャンセル:約30~35%
審査落ち(不適合):約5%
多くの場合、事業内容の説明が不十分だったり、提出書類に不備があったりすることで、そもそも審査が開始されないケースが一定数あります。逆に、必要情報をきちんと準備されている方は、比較的スムーズに開設できています。
ー 書類が整っていれば、高い確率で口座開設できるんですね。では、次に気になる「審査にかかる時間」について教えてください。起業初期の忙しい時期でもスムーズに進められるのでしょうか?
審査の平均所要日数は約1.7営業日と、非常にスピーディーです。本人確認の方法によっても異なりますが、セルフィー動画を用いたeKYC(オンライン本人確認)を選択いただくと、最短で即日にログイン情報を発行することも可能です。
開業直後で忙しい時期でも、オンライン完結で手続きが進められるため、スタートアップやスモールビジネスの方にもご好評いただいています。
ー ここからは、御行についてお伺いします。GMOあおぞらネット銀行さんの方針や特徴を教えてください。
当行は「すべてはお客さまのために。No.1テクノロジーバンクを目指して」を掲げ、お客さま本位でテクノロジーを活用した金融サービス革新に取り組んでいます。設立当初から、特にスモールビジネスやスタートアップ向けの利便性の高いサービス提供に注力してきました。オンラインでの口座開設や各種手数料の安さなどが特徴のひとつです。また、テックファースト戦略のもと、パートナー企業との提携による組み込み型金融などサービス拡大にも取り組んでいます。
さらに当行は、GMOインターネットグループの技術力と、あおぞら銀行の金融ノウハウを融合させた独自のサービスを展開しています。例えば、GMOクリック証券との連携による「証券コネクト口座」では、普通預金金利が0.11%に優遇され、資金の移動もスムーズに行えます。
また、1つの名義で最大10口座まで使い分け可能な「つかいわけ口座」は、取引先別・事業別・費目別など、ニーズに応じた資金管理が可能で、業務の効率化にも寄与しています。
こうした機能は、従来の都市銀行や他のネット銀行にはない、当行ならではの強みです。これらの機能や取り組みは、金融に不慣れな起業家にとっても、安心してスタートを切るための強力なサポートとなっています。
ー 他行と比較した際の特徴をさらに詳しく教えてください。
創業初期は売上が不安定な中でも、多くの手続きや資金管理が求められます。当行では、そうした負担を軽減し、事業に集中できる環境を整えることに注力してきました。都市銀行や他のネット銀行と比べても、コスト面・利便性・外部連携の柔軟性といった点で大きな違いがあります。
特に、起業初期の法人を対象にした振込手数料の優遇や、クラウド会計ソフトとの高度なAPI連携などは、他行ではあまり見られない当行独自の強みです。振込手数料は業界最安水準であり、資金規模が限られる創業期において、毎月の固定費が抑えられます。API連携ができることで自動仕訳や入出金のリアルタイムで反映され、会計業務の効率化にもつながります。
また、社会保険料・国税などの口座振替にも対応していますので、バックオフィスの管理負担を軽減します。
このように、単にオンラインで便利というだけでなく、スタートアップやスモールビジネスの立ち上げから運用フェーズで求められる機能やサポートを「最初から整えている銀行」であることが、当行の大きな特徴です。
ー 利用者目線で見ると、GMOあおぞらネット銀行を使う最大のメリットは何でしょうか? 実際にどのような点が特に高く評価されていますか?
起業初期の事業者が直面する「コスト負担」「資金管理」「業務効率」の課題に対し、当行は実用的で即効性のある解決策を提供しています。
利用者から特に評価されているポイントは、振込手数料やスピーディーな口座開設、夜間や週末でも資金移動や残高確認が可能ということや経理作業を効率化する機能性の部分です。
振込手数料は、他行宛てへの振込が業界最安水準の145円(税込)、当行宛ては無料。さらに、設立1年未満の法人様は、月20回までの他行宛て振込が12ヶ月間無料となる特典もあり、創業期の資金繰りに大きく貢献します。
また、口座開設は条件を満たせばeKYC(オンライン本人確認)により即日でログイン情報を発行可能なので、スピードが求められるスタートアップに適した体制です。
このように、低コストかつ高効率なサービス設計により、利用者の経営負担を最小限に抑えられる点が、最も高く評価されています。必要な機能が揃い、使いやすさにも優れているため、起業したばかりの方でも安心してメインバンクとしてご利用いただけます。
ー バーチャルオフィスを利用して起業を検討している方へメッセージをお願いします。
「バーチャルオフィスだから口座が開設できない」ということは、当行では一切ありません。実際に、当行をご利用いただいている多くの契約者様が、バーチャルオフィスを登記先として起業されています。当行では、利用者の皆さまに対して、公平かつ迅速な審査を行っており、事業の実態や意図をしっかりとご説明いただければ、創業間もない方でも、安心して口座を開設していただける環境を整えています。
起業初期には、資金管理や各種支払い、入出金の流れを安定させることが重要です。当行のサービスは、そうしたスタートアップの皆さまの「はじめの一歩」を支えるために設計されています。ぜひ、起業のパートナーとして、当行のサービスをご活用ください。口座開設に関するご不明点やお悩みがあれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければと思います。
私たちは、チャレンジする起業家や事業者を、金融面からしっかりとサポートしていきたいと考えています。
ー 最後に、当社への期待があればお願いします。
これからの時代、起業や副業のスタイルはますます多様化していきます。そうした中で、バーチャルオフィス事業者の皆さまとは、単なる登記住所の提供にとどまらず、起業後の継続支援や成長の伴走者として、より密な連携を築いていけたら理想的です。
金融機関としても、信頼できるパートナーとのネットワークは非常に重要です。ワンストップビジネスセンターさんとも連携をさらに強化して、多くの起業家をサポートしていければと考えています。