バーチャルオフィスの
メリットとデメリット
バーチャルオフィスを使った起業のメリットとデメリットを包み隠さずご紹介します。
バーチャルオフィスの実態がよく理解できずに、代わりにレンタルオフィスやシェアオフィスを借りてしまい、高い家賃を出して事務所を構え、毎月の固定費用が重くのしかかっている方もいるのではないでしょうか。
本ページでは、バーチャルオフィスを利用するメリットとデメリットについて解説します。
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスとは、実際のオフィスに入居することなく、住所や電話番号などの事業運営に必要なオフィス機能の一部を利用できるサービスです。
レンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースとは異なり、仕事で使える作業スペースは提供されません。個人や法人が事業を始める際に必要な郵便物の受け取り場所、銀行口座の開設、登記など、バーチャルオフィスの電話番号や住所を利用することができます。机や椅子など仕事ができる作業スペースは備わっていない場合がほとんどなので、自宅など作業スペースを確保できている方におすすめのサービスです。
ワンストップビジネスセンターのバーチャルオフィスは、月額4,800円(税込5,280円)からご利用いただけます。
バーチャルオフィスと各オフィス形態の違いを比較
オフィスサービスと言っても「賃貸オフィス」「レンタルオフィス」「シェアオフィス」「バーチャルオフィス」など様々な形態があり、各オフィス形態によって特徴も異なります。
バーチャルオフィスの大きな特徴は、他のオフィスレンタルサービスと比べて価格が安く、サービスの利用開始までの期間が短いことです。
バーチャルオフィスと各オフィスサービスのメリット・デメリットを比較した表が下記のとおりです。
賃貸オフィスレンタルオフィス | シェアオフィスコアーキングスペース | バーチャルオフィス | 自宅住所 | |
---|---|---|---|---|
費用コスト | 月額50,000円以上 | 月額30,000~50,000円程度 | 月額5,000~10,000円程度 | 実質無料 |
顧客(取引先)からの 信頼・信憑性 | ○ | ○ | ○ | △ |
社会的な安全性 | ○ | ○ | ○ | × |
法人登記 (特商法に基づく記載可能住所) | ○ | ○ | ○ | ○ |
公的機関の許認可 | ○ | ○ | △ | △ |
登記住所の重複 | ○ | × | × | ○ |
会議室(商談) スペース | ○ | ○ | △ | × |
利用開始までの期間 | △ | △ | ○ | ○ |
バーチャルオフィスの料金形態
バーチャルオフィスの料金形態は「定額料金制」と「従量課金制」の2種類です。
定額料金制では毎月決まった料金を支払った上で、バーチャルオフィスで利用できるサービスを全て利用できる料金形態です。顧客とのやりとりが事業拡大とともに増えても対応しやすく、住所以外も必要なサービスがある方がプランの見直しなどの手間をかけなくてもよい形態になっています。
従量課金制は、住所や電話番号などの基本的なサービスのみ利用可能で、他のサービスは必要に応じて追加で料金を支払うことで利用できる料金形態です。限られたサービスしか利用できませんが、初期費用を安く抑えることができます。
定額料金制 | 従量課金制 | |
月額料金 | 4,000~10,000円 | 500~2,000円 |
法人登記 (特商法に基づく記載可能住所) | ○ | ○ |
電話番号の貸出 | ○ | 課金オプションで追加 |
郵便転送手数料 | ○ | 課金オプションで追加 |
郵送料金 | 小型郵便無料 大型郵便自己負担 | すべて自己負担 |
会議室利用 | 利用のタイミングで課金 | 利用のタイミングで課金 |
またバーチャルオフィスは、住所を貸し出している業者自体が倒産になると、住所が使えなくなってしまいます。そのため、バーチャルオフィスの住所を長期的に利用する予定の方は、サービスや料金の他に利用者数や事業実績(10年前後運営しているか)を合わせて確認するとよいでしょう。
バーチャルオフィスのメリット
バーチャルオフィスはコストを抑えられる
バーチャルオフィスは他のオフィスサービスよりも月額利用料が低く設定されているため、初期費用のコストを抑えることができます。
また実際に事務所を構えるわけではないため、賃貸オフィス(レンタルオフィスを含む)を利用した際の敷金・礼金・内装費などは一切掛からず、イニシャルコストの削減も可能です。
具体的な各オフィスサービスの「初期費用」「月額利用料」の比較は、下記の通りです。
月額利用料 | 初期費用 | |
バーチャルオフィス | 月額5,000~10,000円程度 ※サービス内容により変動 | 10,000円程度 内訳:入会金・初回申込費用・契約手数料など |
賃貸オフィス レンタルオフィス | 月額50,000円以上 ※場所により変動 | 5,000,000万円以上 内訳:保証金・敷金・礼金・内装費など |
シェアオフィス コアーキングスペース | 月額30,000~50,000円程度 ※サービス内容により変動 | 10,000万円程度 ※内訳:入会金・初回申込費用・契約手数料など |
自宅住所 | 実質無料 | 実質無料 |
自宅を仕事場として活用し、会社住所としてバーチャルオフィスを利用することで年間で数万円から数十万円のコストの削減が可能になります。
オフィス運営に必要な経費も削減できる
バーチャルオフィスはオフィスを必要としないため、光熱費など設備利用に関わるランニングコストを下げることが可能です。
例えば、賃貸オフィスからバーチャルオフィスに移転して毎月のオフィス運営費が3万円削減できた場合、3年間で108万円(3万円x36ヶ月)のコストダウンになります。
事業内容にもよりますが、賃貸オフィスを利用する際は「光熱費」「回線費」「雑費」「設備維持費」「在中スタッフの人件費」などのランニングコストが掛かります。
住所利用開始までの期間が短い
オフィスを借りるとなると手続きに数週間かかるのに対して、バーチャルオフィスは最短即日で住所利用を始めとした各種サービスが利用可能です。
審査に必要な書類は、運転免許証などの写真付き身分証明書や履歴事項全部証明書などで、スピーディーに事業を展開したい方におすすめです。
顧客(取引先)や金融機関、公的機関から信用や信頼性を得られる
バーチャルオフィスの提供する住所は都心一等地の住所です。住宅街の自宅の住所をビジネスに使用し、名刺やホームページに記載をするよりも、都心一等地の住所を記載したほうが顧客(取引先)や金融機関、公的機関などから信用や信頼性を得やすくなります。
もし、こちらが事業をスタートしはじめたばかりの段階で、事業体としての信用がまだまだ少ない場合、新規の取引が始まる際の「審査」で落とされることがあります。それらの審査のマイナスポイントを補完してくれるのがバーチャルオフィスのサービスでもあります。
また、ホームページでも「会社概要」の会社情報が記載されたページは閲覧者の興味が高いコンテンツとなっており、事業を提供する代表者名や会社の住所は確認されることが多いです。
バーチャルオフィスでも法人銀行口座の開設は可能です。
法人口座開設では健全な事業運営を伝えることが求められ、一般的に以下の基準で審査されます。
・事業所の場所
・事業内容
・資本金の金額
・固定電話・ホームページの有無
特に、登記簿による会社の存在確認や収入状況としてハイリスク取引がないなどは厳しく確認されます。これは法律により銀行も暴力団など反社会勢力へのかかわりがないことを確認することが義務付けられているためです。
犯罪収益移転防止法のもとに定められた本人確認資料を準備し、事業内容を明確に説明できる事業計画書や会社案内、取引先との契約書など、銀行口座開設に必要な書類などを準備して口座開設を申し込みしましょう。
バーチャルオフィスでも社会保険や雇用保険の申請ができる
バーチャルオフィスでも社会保険や雇用保険の申請・加入は可能です。厚生労働省のホームページにも記載があるとおり、バーチャルオフィスだから加入できないということはありません。
また、労災保険の加入は労働者災害補償保険法により義務付けられています。
ワンストップビジネスセンターのバーチャルオフィスの住所は、法人登記の際の登記住所としてだけでなく、事業開始後に必要な各種行政手続きにもご利用いただけます。
バーチャルオフィスのデメリット
バーチャルオフィスは他会社との住所の重複が起こる
バーチャルオフィスはひとつの住所を多数の企業で共有しているため、他会社との住所の重複が起こってしまいます。同じバーチャルオフィスの利用者様同士、所在地が同じ住所を保有するため、検索エンジンなどで住所を検索した場合には、御社だけではなく、他社様が表示されてしまうことがあります。
情報を明かすことは信用や信頼性につながりますが、バーチャルオフィスをご利用いただく上ではデメリットになることがあるため、注意が必要です。
また、バーチャルオフィス以外のオフィスサービスを利用しても、同じ問題点が発生します。他社様との住所の重複を避けたい場合は、独自の賃貸オフィスを借りるしか選択肢がありません。
バーチャルオフィス利用で許認可が下りない危険性がある
執務スペースの確保が必要など諸条件が求められる場合は、その許認可の申請の住所にバーチャルオフィスの住所はご利用いただけない場合があります。
・実際の執務スペース(場所、空間)が必要
・電話などのOA機器をはじめ、設備が必要
事業を始めるための官公庁への許認可は、届出・登録・認可・許可・免許の5つが必要です。許認可が必要な事業を始められる際はあらかじめ所轄の官公庁の担当部署に住所の利用についてご確認されるようにしてください。
例えば、中古のリサイクル業で起業をお考えの方は「古物商許可申請 」が必要です。管轄の警察署の窓口へ許可申請書の提出をする前に、まずは電話をして正直にバーチャルオフィスを利用することを伝えて、そのうえで許認可の取得が可能かどうか確認ください。