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先輩起業家へインタビュー 読書メーターを開発された赤星琢哉さん


 
 

赤星 琢哉さん
 

赤星 琢哉さんのプロフィール

1982年生まれ。宮城大学事業構想学部在学中よりさまざまなWebサービスを開発。
2008年に読書管理サービス『読書メーター』を開発し、株式会社トリスタを設立。
同サービスはその後、月間訪問者数890万人、投稿された感想・レビュー数1074万件の人気サービスに成長した。
09年から11年まで空飛ぶ株式会社代表取締役。
2014年9月に『読書メーター』をドワンゴにバイアウトし、現在は新しい事業を考え中。

http://akahoshitakuya.com/

 

 

まず、簡単に事業内容やその経緯について教えていただけますか。

始めは学生時代にコピーライターのWebサイトを作っていました。キャッチコピーを勉強していて、コピーライターになりたくて東京に来ていたのですが、そこで広告会議室というサイトを作ったのが始めで、そこから大学を卒業してプログラミングを始めて・・。

 
 

なるほど。広告会議室というのはどのようなサイトですか。

 
インタビュー風景
 

僕は大学を休学して、キャッチコピーを勉強しに東京に来ていましたが、勉強が終わったあとにもう少し勉強したいと思ったんです。キャッチコピーの勉強ってテキストなので、ネットででも出来るなと思ったんです。そこで、皆でお題を出して、皆でコピーを出し合って、匿名で投票し合おう、そして1番を決めようみたいなことをやったのが始まりです。

 
 

へぇ。面白いですね。

広告会議室で「コピー裁判所」というコンテンツがあって、コピーを裁判にかけるという意味なのですが、その他「コピー2.0」という大喜利みたいなことをやっていました。それがWeb人学生賞をいただいたんです。それで、このままやろうかなと思い就職もせずに、いろんなものを作っていったんです。

 
 

その時は東京にいらしたのですか。

東京は大学を卒業してから出てきました。その間にも色々作っていたのですが、2~3年後くらいに「読書メーター」を作って、その年に「株式会社トリスタ」を立ち上げました。それが2008年の夏で、2009年の始めに「空飛ぶ株式会社」というアプリ会社の代表になりました。ですので、この時点で2社持っていたことになります。株式会社トリスタは僕の個人会社で、空飛ぶ社はいろんなところから出資を受けていました。空飛ぶ社は出資者がいるので、こちらを真面目にやろうと思いました。

 
 

実質、トリスタは赤星さん一人でやっていたのですか。

一人です。殆ど休日にメンテナンスするくらいでした。空飛ぶ社は2009年から2011年くらいまで代表を務め、その後退任してから読書メーターを真面目にやろうと思って今に至ります。

 
 

読書メーターは2008年に立ち上げられたのですよね。読書メーターのサービス内容を簡単に教えていただいてよろしいですか。

読書メーターというサービスは読んだ本を登録したり、感想を投稿したりするサービスなんですけど、一番は、新しい本に出会うために本を共有するサイトを作ろうというのが根っこにあって、そのために本を登録して感想を投稿したりして、ユーザー間のコミュニケーションをして新しい本を教えあうという感じのものをつくろうと思いました。

 
 

本のSNSですね。

そうですね。とはいえ、コミュニケーションはしたいのですが、なかなか始めって人がいないので、いきなりコミュニケーションしろと言われてもできないと思います。そこで、管理的な部分も作ろうということで、メーターで管理できる、ページ数をグラフで管理できるとか、そのような機能を加えてリリースして、徐々にコミュニケーションにシフトしていったという感じです。

 
 

なるほど。なぜ「読書」だったのですか。

僕は全然読書をしたことがなくて、むしろ好きではなかったのです。

 
 

そうなんですか!?(笑)

全然好きではなくて読書感想文とかも大嫌いだったのですが、食わず嫌いみたいなものだと思うのです。2008年の春先に小説を読んで、それがすごく面白くて、もっと面白い小説知りたいなと思って作ったのがきっかけです。

 
 

よし、これを商売にしようと思いましたか。

いえ、商売にしようとか全く考えてなくて、とにかく新しい本が知れたらいいかなという感じで作り始めたので、バイアウトしようとか、上場しようとか、そういうお金を儲けようという感じは殆どなかったです。

 
 

単純に自分の問題を解決しようと思って始められたのですね。

そうです。

 
 

2008年に立ち上げられて、今会員数は何名くらいいらっしゃいますか。

僕が辞めた最後の時点で登録数は47万人くらいです。ただ、読書メーターって、感想を見に来るだけの人もたくさんいて、必ずしもユーザー登録をしなくても使えるので。

 
 

ユーザー登録しなくても感想が見られるのですか。

そうですね。登録ユーザーは47万人くらいなのですが、月間のユニークユーザー数ですと、460万人くらいの人が来ていました。

 
 
インタビュー風景
 

月間で460万人!!!

はい、ですので登録していない人が多かったですね。

 
 

なるほど。みんなの書き込みを見に行っている人が多かったのですね。でも460万人。それはすごい!

結構最後まで伸びて、僕は退任できました。

 
 

2008年から始められて、どこかで何かのターニングポイントがあって爆発したのですか。どのようにユーザー数を増やしていかれたのですか。同じようにアプリ開発されている方がたくさんいらっしゃって、多分なかなかユーザーを集められないという方もいらっしゃると思います。

読書メーターはあまり爆発したことがなく、徐々にずっと伸びてきました。プロモーターとか、マーケッターがいたら、もしかしたら爆発があったかもしれないですが、読書メーターは時々ニュースに取り上げられたりとかするのですけど、結局単発でしかないのでアクセス数がすぐ戻るんです。やはり地道に改善してユーザーの声を聞いて修正して運用して徐々に広がっていったという感じが一番強いです。

 
 

口コミとかも・・。

口コミとかもそうです。ユーザーが書いて投稿するとかそういった形で徐々に・・
続ける人と辞める人の割合が、徐々に続ける人の割合の方が多くなって、グーっと伸びていった感じです。

 
 

なるほど、ご利用者の声を反映されるというのは非常に大切なことだと思うのですが、どのようにヒアリングされたのですか。

読書メーター内にある「つぶやき」というのがあってツイッターみたいな部分があるのですが、そこを見たりとか、あとはツイッターで皆の意見を探したりとか、問い合わせとか、そういうものを見ながら修正していきました。

 
 

凄いですね、2008年から2014年の6年間ですよね。

6年半ですね、2008年の5月くらいからなので。

 
 

では、ずっと徐々に伸びていったのですね。

そうですね。毎年伸びていました。ただ、2~3年くらい別のアプリを頑張っていた時は伸び率というと、かなり下がっていました。やはり、日々の運用というか、修正というか、そのようなことが大事なんだなと思います。

なるほど。今までこの6年間、赤星さんの日々の業務というのはどんな感じだったのですか。

 
 

問題が発生するとバグを直したりとかもありますし、新しい機能を考えて作るということですね。出してみて、ダメだったら直す。そういうことをずっとやっていました。プログラムがメインですね。

 
 

元々1名で始められて、最後バイアウトされる時には3名プラス1名とおっしゃっていましたね。

はい、大体4~5名くらいです。

 
 

どのタイミングで、どのように人を増やされていったのですか。

殆ど始めは一人でやっていました。ちょっと大きくなってきた時に、空飛ぶ社で知り合ったエンジニアの人にサーバーの方を見てもらったりし始めたのが、3年くらい前でした。そこからたまにサ-バーを増やすとか増強するとか、負荷が高すぎて、どうしたら良いのかわからない時に教えてもらったり。その間に運営スタッフとかアルバイトとか入れたりもしていたのですが、フルタイムで初めて入ったのが運営スタッフの人で今年の7月からですね。それまでフルタイムは僕しかいませんでした。
外注で、空飛ぶ社の時に知り合ったエンジニアの人に見てもらっていたのですが、7月にサーバーを大きく変えて、そこでもう一人、知り合いの人に来てもらっています。

 
 

ほぼ、実際プログラミングやシステム開発をずっと一人でされてきて、ここ最近人を増やしたということですよね。

そうですね。僕がメインでやっていて、あとはサーバーのインフラ周りをたまに見てもらうという感じです。

 
 

お仕事自体は自宅でやってらっしゃったのですか。

2年くらい前から自宅の近くにもう一つ(オフィスを)借りてスタッフを呼ぶときは、そこで一緒に仕事していました。家に帰ったら家で仕事しますけど。笑

 
 
インタビュー風景
 

確かにそうなりますよね。笑

振り返ってみると、採用が結構難しかったですね。少人数でいい点もあるんですけど、採用をしてたらもっと違ったのかなとも思います。今後の課題かなと思います。もう少し大きく出来たら、もっと早く成長できたかなとも思うし、一人だったから逆に良かったのかもしれないし、それは分からないですけれど。

 
 

振り返ってみて一番大変だったことは何ですか。

バイアウトする時の会社の資料整理が一番大変だったかもしれないです。(笑)

 
 

笑。確かに、それは大変そうです。通常業務の中ではどうですか?

今までに開発の中ですと、大変な時期もありましたけど、楽しかったのでプログラマーとして解決する楽しさがあったので、例えば旅行に行っていて気がついたらサーバーが落ちていたとか、そういうのでいくら直しても直らないとか、苦しみというか大変さはちょくちょくありました。夜中とか、朝起きたら止まっていたとか、ということがよくありました。

 
 

サーバー問題は結構キツかったですか。

そうですね、でもそれはそれで楽しかったので苦ではなかったですね。苦だったのは最後の資料整理が面倒だった。(笑)

 
 

確かに膨大なことになりますよね(笑)

今までは個人のようなものだったので、資料を適当に資料入れのようなところに入れて置いただけだったので、それを整理し直さなきゃいけないのが一番大変でした。

 
 

ドワンゴさんからはいつ、どのような経緯でお声がかかったのですか。

(2014年)7月くらいに読書メーターのレビュ数が1000万件を突破して、それをリリースしたのです。

 
 

1000万件!!

はい、それをプレスリリース出してニュースサイトにもITメディアさんなどに、取り上げていただきました。

 
 

そういうことも全部ご自身でやってらっしゃるのですね。

そうです。それから色々お声がかかって来まして、その中にドワンゴさんもいらっしゃいました。

 
 

凄く早いですね。

そうですね。今年の9月末に決まっているので早かったですね。

 
 

最初からそのような話だったのですか。

はじめはお互いの事業の話だったと思いますが、色々やりとりがあって、最終的に9月26日に発表がありました。

 
 

その時に、自分が残るという選択肢はなかったのですか。

僕はなかったですね。当然残って一緒にやるという選択枠も出していただきましたが、僕は売るのであれば抜ける、売らないで続けるか、どちらかの選択肢しかありませんでした。売って雇われになって残るという選択肢はなかったです。

 
 

元々在籍されていたスタッフの方たちはドワンゴさんの社員としてやってらっしゃるのですか。

そうですね。あとは、手伝ってくれていたエンジニアの人たちとドワンゴさん本体の人たちでやっていると思います。

 
 

金額はどのような形で決まっていくのですか。

金額はまあ詳細はなかなかいえないのですがお互い話し合って最終的にあそこに落ち着いたみたいな感じですね。

 
 

そうですよね。交渉は結構激しいのですか。

激しさはないですが、ツメの時は結構やり取りはしました。僕の意見を聞いていただいて、僕が抜けるという話も。ですので僕のわがままを結構聞いてもらったと思います。

 
 

売るなら抜けますと、それが赤星さんの条件だったのですか。

そうですね。

 
 

なるほど。夢物語ですね本当に素晴らしいですね。

そうですね。結構大きな金額なので。僕はあまり公にしたくなくて、できればフェイドアウトしたかったのですが、誰にも気づかれずに(笑)ドワンゴさんもあまり派手には発表しませんでした。IRのところに事務的に載せたくらいですね。僕も、発表があったんですけど誰にも言わずにじっと待っていたんです。バレないように過ぎ去らないかなと思って。個人的には金額は発表しなくてもいいと思っていたのですが、やはり上場企業ですしね。そうするとやはりニュースメディアさんとかが気づいて・・調査力が高いというか・・そこでニュースに取り上げられて、そこから火がついてしまって表に出ることになったと。

 
 

僕も何かのニュースサイトで見ました。

誰にも言えなかったので、エンジニアの人たちには作業があるので話しましたけど、他には話してないので、皆ニュースを見て知ったという感じです。

 
 

見事バイアウトされて、今後赤星さんはどういったことをされていこうと思っていますか。

また何か作りたいとは思っています。読書メーターも作りたいものが自分の生活の中から出てきて作ろうかという動機があった。

 
 

自分の悩みを解決ですね。

これから絶対本が来ると思ってやったわけではないので、作りたいなと思う時が来るまで色んな遊びをしようかなという感じです(笑)色々経験して、そういう中でいろんな悩みとか、もどかしい部分が出てくると思うので、解決できないようだったらやろうかなと思います。

 
 

新たなパッションが生まれるまでは。

そうですね。次はこれが来るかやろうというのは、今までやってきていないですし、ちょっと待ってみようかなと思います。

 
 

では、ゆっくりしながら色んなものを見て経験して、自分が次、何を感じるか。

そうですね。あとは、ベンチャー投資とかをしてみたいです。色々今までお世話になった人たちがいて、僕に投資してくれた人たちもたくさんいらっしゃって。空飛ぶ社は投資で言うと失敗でした。失敗させてしまった。期待に応えることができませんでした。ただ、僕としてはあの時の経験が確実に今に生きていて、それがあったから、いまがあるんだと思っています。いろんな経験をさせてもらったということがあります。今回のバイアウトも祝っていただきましたし、本当に感謝しかありません。僕はもう30歳になったので、若い人たちに共有していけたらなと思います。あとはもう少し、若い人達とも付き合って、色々面白いことをしていきたいなと思います。

 
 

それでは、若い世代、起業していく世代、ワンストップビジネスセンターの会員様たちへ向けて、アドバイスをいただけると非常に嬉しいです。

僕のバイアウトっていうのは、これを目指していたわけではないのですが、もしもバイアウトをゴールにするのだとしたら、すごく広いオフィスとか、かっこいいオフィスがなくてもできるってことですね。大切なのはプロダクトだと思うんです。だから、全然バーチャルオフィスでも、プロダクトがよければ17億で売れることもあります。

 
 

ありがとうございます。(笑)すごく素敵なコメントを。(笑)

本当にそう思いますね。綺麗なオフィスが悪いわけではないですけど、それが必ず必要なわけではないので、ベンチャーってお金がないと思いますから。バーチャルオフィスで削減して、仕事に集中できれば良いと思います。

 
 

本当にそうですよね。数年前までご自宅で、一人でやってらっしゃったっていうのはバーチャルオフィス利用者からしたら、夢物語だと思います。

読書メーターのドメインも、僕の個人ドメインだったんですよ。個人スタイル丸出しでした。それでもドワンゴさんは中身をやっぱり見ていただいて、それで買っていただいたので、そこはとても感謝をしています。

 
 

もしも読書メーターを売らないで、そのまま続けていたとしたら、その先のビジョンは何かありますか。

 
インタビュー風景
 

僕はもっと上の世代の人にも使って欲しかったので、上の世代の人にも使ってもらえるような物にしたかった。ではどうやったら使ってもらえるかと。両親も何を使っているかを考えると、スマホも使えますけど、PCは使わないのでタブレットかなと思っていて、タブレットを強化していきたいと思うのと、あと皆が皆、共有したいわけではないので、もっとプライベートにできる感じにしたかったです。

 
 

それは、またドワンゴさんがやっていくのですかね。

わからないですけどね。あとは読書メーター内でもある程度本を読めるようにしたかったです。電子書籍というと、あらすじを読むことはできたんですけど、更に冒頭を読むとか、そのあとに続きを読むと購入とか。ブラウザー上で読めるようにしたいというのはありました。

 
 

なるほど、今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

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