
柏木潤也さん
ニッチだからこそ求められる専門技術
知的財産に関わる図面制作を専門とする柏木さん。
メーカーが新製品を開発し、特許や意匠(デザイン)の権利を取得する際には、特許庁へ提出する図面が必要になります。柏木さんは、その図面を専門に制作する数少ないプロフェッショナルです。約30年にわたり業界の第一線でご活躍され、意匠図面を描ける人は業界でも数えるほどということもあり、多くの特許事務所や企業から依頼を受けています。
今回はそんな柏木さんに、独立の経緯や仕事への想い、バーチャルオフィスを利用したきっかけ、そして自由な働き方についてお話を伺いました。
柏木 潤也さん
株式会社UNITE 代表
神奈川県座間市在住
ご利用店舗:ワンストップビジネスセンター横浜桜木町店
24歳で図面制作会社へ入社し、特許事務所勤務を経て独立。約30年にわたり、特許・意匠出願に必要な知的財産図面の制作を手がける。特に意匠図面を専門とし、企業の知財部や特許事務所から多数の依頼を受ける国内でも数少ない専門家。近年は30年以上続けるレザークラフトにも取り組み、自分らしい働き方と暮らしの実現を目指している。

偶然出会った「知財図面」の世界
現在のお仕事について教えてください。
特許や意匠(デザイン)の出願に必要な図面を制作しています。
メーカーや特許事務所から依頼を受け、権利取得のために特許庁へ提出する図面を仕上げる仕事です。一般にはあまり知られていませんが、業界では欠かせない専門職ですね。
この仕事を始めたきっかけを教えてください。
24歳の頃に図面制作会社へ入社したのが始まりです。
その後は特許事務所などで経験を積み、独立した今も同じ仕事を続けています。この道一筋で、キャリアは約30年になります。
独立されたきっかけは何だったのでしょうか。
特許事務所で勤務している際に、組織の枠にとらわれず、自分の技術だけでどこまで勝負できるか挑戦してみたいと考えたことが独立のきっかけでした。ありがたいことに、当時から図面を発注してくださっていたお客様が私の技術を高く評価してくださり、「独立してもぜひお願いしたい」と背中を押してくださいました。そのご縁が今も続いていて、現在の売上の半分ほどは、当時のお客様からのご依頼によるものです。
御社ならではの強みを教えてください。
当社の強みは、意匠図面に特化していることです。
意匠図面を描ける人は非常に少なく、この仕事はよく伝統工芸に例えられます。専門学校もなく、技術を受け継ぐ人も少ないため、業界全体が高齢化しています。
その分、「意匠図面を描ける人を探していました」とホームページ経由でお問い合わせいただくことも多いですね。

AI時代でも残る職人の仕事
AIの進化による影響は感じていますか。
まだそこまで大きくは感じていません。
図面を描くだけならAIでもできるようになるかもしれません。ただ、実際の仕事では試作品や手作りのサンプルを見ながら、「どこを権利として表現すべきか」「どのように図面化すれば伝わるか」を考える必要があります。
デザインの意図を読み取り、権利として成立する図面に仕上げるには経験と判断力が欠かせません。その部分は、まだ人にしかできない仕事だと思っています。
今後の展望を教えてください。
知財図面の業界は縮小傾向にあり、技術を受け継ぐ担い手も減っているからこそ、手作業でしか生み出せない専門技術の価値が高まっていると感じています。だから会社を大きくすることよりも、この希少な職人技を絶やすことなく、必要としてくださるお客様のために長く続けていきたいです。将来的には、同じ仕事をしている妻と家族経営のような形でやっていくことも考えています。

法人登記のために選んだバーチャルオフィス
バーチャルオフィスを利用しようと思ったきっかけを教えてください。
当時住んでいた賃貸マンションで法人登記ができなかったことが一番の理由です。
シェアオフィスも少し考えましたが、私の仕事は守秘義務が厳しいので、他の人と同じ空間を使うのは難しいんです。そのため、最初からバーチャルオフィスを選びました。
ワンストップビジネスセンター横浜桜木町店を選んだ理由を教えてください。
ネットで調べたのがきっかけですが、妻の勤務先や顧問税理士さんの事務所が桜木町の近くにあり、何かと便利だったことが決め手になりました。
実際に利用されてみて、いかがですか。
私の場合は登記住所として利用することが目的だったので、必要十分という印象です。
料金面も含めて満足していますし、特に不自由なく利用できています。
改善してほしい点はありますか。
強いて言えば、郵便転送が週2回くらいあると助かります。税務署などから届く書類は期限が重要なこともあるので、その点だけ改善されるとうれしいですね。

満員電車のストレスからの解放
独立して働き方は変わりましたか。
大きく変わりました。会社員時代は、満員電車での通勤だけで疲れてしまっていました。今は自分で時間をコントロールできるので、朝型の私は早朝に仕事を進めたり、疲れた日は休んだりと、自分のペースで働けるようになったことが、一番の変化であり魅力ですね。

趣味だったレザークラフトが新たな可能性に
お仕事以外で力を入れていることはありますか。
30年以上続けているレザークラフトですね。
財布やバッグから、オートバイ用の大型バッグまで手縫いで制作しています。最近は作品を見た方から注文をいただくことも増え、将来的には図面の仕事と両立できたら面白いなと思っています。
今後のライフプランを教えてください。
地方へ移住して、畑をやりながら仕事を続けたいですね。
図面の仕事とレザークラフトを両立しながら、自分らしいペースで長く働いていきたいと思っています。
最後に、これから独立を考えている方へのメッセージをお願いします。
計画は思い通りに進まないことの方が多いと思います。でも、やってみないと分からないこともたくさんあります。最初は失敗もあるかもしれませんが、やってみたいという強い気持ちがあるなら、まずは一歩踏み出してみることが何より大切だと思います。
それから、具体的なアドバイスとしてお伝えしたいのは「価格設定」の重要性です。一度安く設定してしまうと後から上げるのは非常に難しいため、自分の技術の価値を安売りせず、最初によく吟味することをおすすめします。自分のスキルを信じて適切な価格をつけ、挑戦してほしいですね。
取材を終えて
柏木さんのお話からは、約30年にわたり磨き続けてきた専門技術への誇りと、「自分らしく長く働き続けたい」という想いが伝わってきました。
AIでは代替しにくい職人ならではの技術を武器に、自分のペースで仕事も暮らしも楽しむ姿がとても印象的でした。
「やってみないと分からない」という柏木さんの言葉は、これから独立を目指す方をきっと勇気づけてくれるはずです。


